[市場動向]

ナレッジ共有型数学教育プログラム「MathPub」が経産省の新連携支援プロジェクトに認定

2019年2月18日(月)奥平 等(ITジャーナリスト/コンセプト・プランナー)

香川県高松市の情報サービス会社、DynaxT(ダイナックスティ)と小・中・高用学習素材の作成・販売会社の西北出版が中心となって推進する、ナレッジ共有型の算数・数学教材作成/トレーニングプログラム「MathPub」。同プログラムが2019年2月8日、経済産業省四国経済産業局の「異分野連携新事業分野開拓計画」の認証を受けた。国内のIT人材育成の根底を支えるプロジェクトとして、その加速が期待される。

 DynaxT、西北出版および大学・行政機関の関係者十数名をメンバーとするMathPub委員会が主導するMathPubプロジェクト。目的は、2020年度から小学校で必須化されるプログラミング教育はもとより、初等教育から高等教育までを包含した数学的・プログラミング的論理思考を一貫して支援していくこと。利用者自身が「算数・数学の問題を作成する」というプロセスを通じて、それを実現していくという。

 AIなどを基軸とする第4次産業革命の潮流から、経済産業省と文部科学省も当然、その分野における人材育成が国際競争力を高める重要な国策として位置づけている。両省の具体的なアクションの中に、2018年8月から開催している「理数系人材の産業界での活躍に向けた意見交換会」がある。

「MathPub」の進化の経緯

 MathPubの誕生は1994年にまで遡る。位相数学を研究していた香川大学の故・福田弘之教授とDynaxTとの共同研究としてスタート。当時主流のMS-DOSで動作するソフトウェアとして、数学の問題・解答シートを生成する仕組みを開発した。

 その後、蓄積された技術・ノウハウと、インターネットの急速な普及、クラウドサービス環境の整備という技術的背景を踏まえて、2002年にクラウドサービスへの開発に着手。「算数・数学の問題シート作成」から「問題の作成論理を登録し、世界で共有できる」仕組みへと進化させ、2014年に無料で使える「学習共有クラウド」として提供が始まった(図1)。

図1:MathPubのイメージ(出典:DynaxT)
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 この取り組みが、2015年に総務省の目に止まり、ICT活用事例として同省のWebサイトに掲載。その後、東京都清瀬市の小学校における講習、大学の教室を使用した小・中学生対象の講習、高松市でのMPCプログラミング教室などで実証実験授業を繰り広げ、バージョンアップを重ねてきた。

MathPubのユニークな特徴

 MathPubには4つの特徴がある。(1)算数・数学の論理的に正確な問題文章力を養う、(2)プログラミング的思考の能力を養う、(3)MathPub評価者によって総合評価点で「MathPub能力資格」が認定される、(4)制作した算数・数学問題が蓄積されて、世界の知恵袋として発信される、といった点で、世界的に見てもユニークな仕組みであると言える。

 加えて、技術面での特徴として、エンジンの中核にAI(人工知能)を応用し、問題の数値関連を分析して、多様な数値を変化させ、その構造を考えさせるツールが実装されている点が挙げられる。その結果、利用者は論理思考やアルゴリズム的発想、さらには問題作成に伴う文章力・読解力を自然に身につけることができる。

 以前より、第4次産業革命を担うIT人材の不足が叫ばれてきた。今回のMathPubの経産省認定が、将来的な人材育成の裾野を広げていくことに期待したい。

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