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製造業の「スマート化」をもっと手軽に安価に始めるために

ヤマハが提示するIT/OT融合の実効的アプローチ

2019年3月29日(金)

ルーター、スイッチ、ファイアウォール、無線LANアクセスポイントなど、業務用ネットワーク機器の領域で地歩を築いてきたヤマハが今、工場をはじめとする産業向けにおいても存在感を強めている。これまで蓄積してきた技術力とノウハウを結集し、製造機器との連携や制御を高いセキュリティ環境下で実現するアプローチが、市場から熱い注目を集めているのだ。その具体像やユーザー価値とは?

大規模展示会で脚光を浴びたルーターの潜在能力

 「今や、ルーターをベースにこんなことまでできるんだ」──ひとたび事実を知れば、多くの人々がさらに強い興味を示すことを再認識したイベントがある。2019年3月5日~8日に開催された「SECURITY SHOW 2019」(主催:日本経済新聞社、会場:東京ビッグサイト)がそれで、ヤマハが出展したブースには終日、人波が途切れることがなかった。

 目を引いたのは、ピアノの生演奏をというIT関連の展示会ではちょっと珍しい光景だ。美しい音色が周囲に響くと、人々が自然に集まってくる。実はブース後方にネットワークカメラが設置されており、それで捉える映像をルーター上のLuaスクリプトで画像認識用のクラウドサービスへと転送、結果として「人の数」を受け取る。続いて、やはりLuaスクリプトを使って統計処理用のクラウドサービスに転送し、最終的には時間経過ごとの人数推移としてディスプレイに折れ線グラフを表示する。こうしたデモンストレーションが定期的に繰り広げられた。

写真3a SECURITY SHOW 2019の会場ではピアノの生演奏を組み合わせたユニークなデモが繰り広げられた
写真3b ピアノの生演奏が響きわたるブース周辺には大勢の来場者が興味津々で集まった
写真3c ルーター上のLuaスクリプトとクラウドとの連携でブースに集まった人々の数を折れ線グラフでリアルタイムに表示した
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写真4 ヤマハ 音響事業本部事業統括部 SN事業推進部 国内営業グループ主任の矢部広大氏

 「ネットワークカメラ/ルーター/クラウドサービスの組み合わせで『今、ここに何人いるか』を、ほぼリアルタイムに計測して可視化することを試みました。奇をてらった訳ではなく、ルーターの可能性を端的かつ分かりやすく表現するものとして企画したのです。反応は上々で、来場者の方々に当社ブースの他の展示も興味深く見てもらうことにつながりました」。こう話すのは矢部広大氏(SN事業推進部 国内営業グループ 主任)だ。

地に足の付いたソリューションで現場の課題を解決

 ここでいう「他の展示」の一つが、「ファイアウォール越えセキュア通信による遠隔保守」。ヤマハ発動機と共同開発したもので、工場などを対象にリモートで監視・保守するシーンを想定したソリューションだ(参考出展)。ファイアウォール配下の機器を遠隔から保守するとなると、ネットワークやファイアウォールの設定変更が必要だったり、外部リモートアクセスとセキュリティを両立する策に思い悩んだりと、課題が多々立ちはだかる。ここで同社が提案するのが、拠点にルーターを設置し、同社が提供するクラウドを介してセキュアなVPNセッションを確立する方法だ。拠点内にヤマハ製ルーターを設置し産業機器などとケーブルを接続するだけでリモート監視・保守の環境が整うとの説明に、多くの人が足を止めて聞き入っていた。

 ネットワークカメラをはじめとするネット接続機能を備えた機器や、ネットワーク環境そのものをリモート監視・保守を実現したいというニーズは着実に高まっており、ここでクイックスタート/スモールスタートを検討したいという人々が注目していたのが、もう一つの展示だ。これは、同社が提供している「YNO(Yamaha Network Organizer)」と呼ぶクラウドベースのネットワーク統合管理サービス、そして同社のルーター/スイッチを組み合わせることで、1拠点あたり月額228円(5年契約、100台ライセンスの場合)から始められるというもの。煩わしい設定をしなくとも、現状の可視化や必要に応じた保守などの操作を管理用のブラウザ画面から一元的に対処できる点に魅力を感じていたようだ。

過酷な環境向けに組み込み用ルーターボードも提供

 これまで見てきたように、ヤマハのルーターは大きなポテンシャルを秘めている。もっとも、工場のような過酷な環境に設置するには防塵・防滴性能、あるいは温度・湿度といった耐環境性の面で心許ないのではないかとの声も聞こえてきそうだ。ここでも同社は抜かりなく、解を用意している。

 それが組み込み用のルーターボード「VPNルーターボード RTX-BOARD830」だ(写真5)。スペックはボックス型のルーター「RTX830」と同一である。これを耐環境性能を考え抜いた筐体に内蔵させれば、タフ&リジッドな産業用ルーターへと変貌する。もちろんLuaスクリプトを動かせるので、多彩な用途に応用が利く。同社は、製造業向けの装置メーカーなどにルーターボードの存在を広く訴求し、応用事例を拡大していく構えだ。

写真5 組み込み用のルーターボード「VPNルーターボード RTX-BOARD830」の外観
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 「スマートファクトリー」という言葉が象徴するように、製造業の工場では「すべての機器がネットワークにつながる」動きが加速していくだろう。時々刻々の動きを可視化し、攻めと守りの両面で次善策を打っていくことが競争力となる。元来、日本のものづくりにおいては、現場を知り尽くした人々の知恵と工夫で業務品質を磨いてきた歴史がある。わざわざサーバーやPCを用意せずとも、ルーターとプログラムで様々な難題を解決できるというメッセージは、その「現場力」にピタリとはまるものだ。ユーザーが直面する壁を打破するために、ヤマハはこれからも製造現場のニーズに全方位で応えていく。


●問い合わせ先

ヤマハ株式会社
SN事業推進部 ネットワーク戦略グループ
電話:03-5488-6676 (営業時間 9:00-12:00 / 13:00-17:00)
※土・日・祝日、定休日、年末年始は休業

ネットワーク製品の詳細はこちらへ
https://network.yamaha.com/

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