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データ駆動経営を実現する正攻法に迫る
「PoC疲れ」を一掃する現実的アプローチ

2019年5月8日(水)

企業の競争力の源泉となる「データ活用」。企業においては様々な取り組みが進められているが、残念ながら肝心な「ビジネス価値」へと結び付いているケースは決して多くはない。データ活用を日々の業務の中に定着させ、実効性のある成果へと昇華させるには何が要諦となるのか。SAS Institute Japanのキーパーソンへのインタビューを通じ、企業の眼前にある壁を乗り越えるための現実的アプローチを探る。

 多種多様で大量のデータを企業が入手できる環境が整い、ビジネスに関わる実状を限りなく「リアルタイム」に近い形で把握できるようになった。それらのデータを巧みに活用することによって、より最適な手を打つことこそが競争力となる。すなわち、データ駆動型でスピード感溢れる企業こそが、熾烈な市場競争を勝ち抜くことになるのは言うまでもない。

 その文脈で、企業は様々なチャレンジを繰り広げているのだが、肝心な「ビジネス価値」へと結び付いているケースは必ずしも多くないようだ。例えば、IoTで収集するビッグデータとAIを筆頭とする最新テクノロジーを組み合わせて機器の予兆保守の可能性を探る実験プロジェクトなどが試みられつつも、その域を抜けて実運用までたどり付く事例がなかなか増えてこないのだ。

SAS Institute Japan株式会社
ソリューション統括本部 IoTソリューショングループ
グループマネージャー 松園和久氏

 「デジタル変革を旗印に意気揚々と臨んでも、結果的には“PoC疲れ”を起こすケースがことのほか多いのです」──こう話すのはSAS Institute Japanの松園和久氏(ソリューション統括本部 IoTソリューショングループ グループマネージャー)だ。前例がなく正解を最初から見通せないプロジェクトではスモールスタート、すなわち特定の部署などで小さく始めて徐々に水平展開&本格化を図るアプローチが正攻法となろう。しかし、その過程における「実証実験で知見を積み重ねるフェーズ」と「日々の業務プロセスに落とし込んで成果を得ていくフェーズ」との間に存在する厚い壁に直面して、失速や迷走を引き起こしてしまう例がそこかしこにある。

データ活用のグランドデザインはあるか?

 背景には何があるのだろうか。「データの高度な利活用」というと斬新なアイデアや洗練されたアルゴリズム、見栄え優れたインフォグラフィックスなどを想記しがちだが、それらは氷山に例えれば水面上の人目に触れやすい部分に過ぎず、もっと重要な大きな塊(データをビジネス価値に変えるのに必要な仕組みや枠組み)が下になければバランスを維持できないことを認識しなければならない。

 具体的には、単にデータを蓄えるにとどまらず意図に沿った粒度や品質を整えること、目的とするデータに直ちにアクセスできるようにすること、分析者が仮説検証を繰り返しやすくすること、学びを共有し再利用可能にすること、データのトレーサビリティやガバナンスが行き届いていること…挙げればきりがないのだが、要は「データマネジメント」の基礎がなければ、すべては画餅に帰すということだ。

 さらに言えば、全体を貫く芯としての「戦略」がなければ氷山は脆くも崩れ去るだろう。自社は何を強みとして競合と伍していくのか。そのためにデータをどのように活かせるのか。どんなデータを用意して、どんな結果を模索すべきなのか。根本に立ち返った全体像がなければ、歯車はいつまでも噛み合わない。

 「企業全体としてのデータ活用に関するロードマップや仕組み、社内プロセスをどうしていくのかという構想、すなわちグランドデザインが無ければ、付け焼き刃的なプロジェクトの乱立とポイントソリューションの無計画な導入を許すこととなり、いつまでもオペレーショナライズ(日常業務への定着)へと至らない。これがPoC疲れの構図なのです」(松園氏)。

アナリティクス・ライフサイクルを念頭に置く

 スモールスタートで長く足踏みすることなく、ビジネス価値へのブレークスルーに着実に歩を進めるために念頭に置くべきこととしてSASが提唱するのが「アナリティクス・ライフサイクル」だ。データ活用の中核をなす分析(アナリティクス)について、目的や関係者、現場での行為といった諸々の一連の流れに着目し、全体最適の観点で体制やプラットフォームのあり方を考えていこうというメッセージである(図1)。

図1 SAS Instituteが提唱するアナリティクス・ライフサイクルの概要
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 ゴールを見据えた上で必要なデータを収集し、その内容を精査したうえでモデルを開発する。その善し悪しを試行錯誤を重ねて吟味し、これは行けるとなればきちんと業務に実装して定着させる──。このサイクルを素早く回し続けることで、企業は当初の目的を達し、ひいては収益拡大やコスト削減といったビジネス上の価値を創出することが可能となる。

 アナリティクス・ライフサイクルは、下記の3つの要素がシームレスに連携することで、はじめて実現される。

  • Data:必要なデータを収集し、クレンジングによって品質を高めた上で加工/変換/結合し、後続処理へ必要なデータを準備する
  • Discovery:準備したデータの中身を探索し、その結果に基づきモデルを生成する
  • Deployment:モデルを統合的に管理した上で業務に実装し、モデルの精度をモニタリングして改良し続ける

 「何かの取り組みを始めるにしても、実行しようとしているものがサイクルのどこに位置付けられるものかを常に意識し『部分的な実行で終わっていないか?』『改善を加えながらサイクリックに回す構想を持っているか?』といったことに配慮することがとても大切です」と松園氏はアドバイスする。

企業の悩みに正対するSASの製品ポートフォリオ

 当然のことながら、SASが提供するソリューション群は、このアナリティクス・ライフサイクルのコンセプトに基づき、データ活用にまつわる各フェーズを有機的に結び付けることを念頭に置いている。

 機械学習・深層学習のような最新AI技術も従来からの解析技術も含めて、必要な機能を集約した同社の最新プラットフォーム「SAS Viya」もその一つだ。構造化/非構造化といったデータのタイプを問わずに、またオンプレミス/クラウドでも構築が可能でデータを意図通りにハンドリングできるはもちろんのこと、多種多様な選択肢の中からモデル開発や解析を実行できるようにしている。さらに、APIを介して、あるいはJavaによるコーディングなどで業務システムと緊密につなげることにも抜かりはない(図2)。

図2 SAS Instituteが市場展開するソリューションには、アナリティクス・ライフサイクルをベースとした設計思想が貫かれている。図はSAS Viyaの例
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 「それはとりもなおさず、さまざまな立場の人がアナリティクスを活用し、データから生まれる知見を業務に適用しやすくするための工夫です。データサイエンティスト、業務ユーザー、IT担当者など様々なユーザーが手を動かした成果物を単一のプラットフォーム上で共有できる。つまり、データだけではなく、人と人とをつなげることにより、企業全体で足並み揃ったデータ活用を促すことができるのです」(松園氏)。

 こうした取り組みの成果として2019年2月、米ガートナーの調査レポート「2019年版データサイエンスおよび機械学習プラットフォームに関するマジック・クアドラント(2019 Gartner Magic Quadrant for Data Science and Machine Learning Platforms)」 においてSASが同分野のリーダーに選出されたことは記憶に新しい。

 ソリューションに加え、コンサルティングやサポートに厚みを持っていることもSASの特徴だ。「当社はアナリティクスの領域に40年以上もフォーカスし続けてきました。それは技術進歩に照らして機能を磨いてきた歴史でもありますし、ユーザーのペインに向き合ってきた歴史でもあります。業種業態を問わず、企業が直面する壁の乗り越え方に関しては、相当の蓄積があると自負しています。我々の願いは、データ活用に際して企業が独り立ちし、自らアナリティクス・ライフサイクルを回せるようになること。人材育成や教育を含め全方位で支援する体制を整えています」と松園氏は強調する。

各論ばかりのデジタル変革は失敗する

 ITは級数的な勢いで進化を遂げており、とりわけデータの高度活用に資するテクノロジーは枚挙に暇がない。それらの巧みな応用で競争力を手に入れることは、どの企業にとっても切なる願いだ。最先端のものを貪欲に取り入れて先行優位を獲得する“瞬発力”ももちろん大切だが、データ活用に疲弊せずにやるべきことを愚直に続けられる“持久力”を備えること、換言すればアナリティクス・サイクルを合理的に回す仕組みを整えることが何よりも重要となる。

 ここには、データを巡る諸々を大局的にとらえて策略に落とし込めるリーダーが不可欠だ。データを技術的側面とビジネス的側面で正確に理解できる人。全社横断的に業務プロセスを最適化できる人。各部署にパイプがあって調整力に長けた人。ハードルが高いようにも思えるが、そのポテンシャルを持つ人/組織の筆頭に挙がるのはIT部門ではないだろうか。

 「CDO(Chier Digital Officer)が任命されたり、事業部門主導のプロジェクトが増えたりする中で、IT部門が陰に隠れてしまう話をよく耳にします。しかし業務システムやIT基盤を構築・運用してきたこれまでの経緯から、彼ら彼女ら以上にデータや業務のこと、さらにはガバナンスの要点を知っている人はいないのです。その知見はアナリティクス・ライフサイクルに具現化に役立つことは間違いありません。もっともっと前面に立ってほしいですね」と松園氏。

 デジタル変革は、小さく始めて大きく育てる。しかしそれは、総論抜きに各論だけでスタートすることではない。長い目で見て、どういう発想と仕組みでデータ活用を推進すれば実効性を伴うのかを最初から見据えておかなければならない。そうしたリーダーシップとプラットフォームを備える企業こそが、熾烈な市場競争を勝ち抜いていく。


【お問い合わせ先】

 SAS Institute Japan株式会社

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