[市場動向]
2019年は「プロセスマイニング元年」となるか?─業務プロセス革新ツールの特徴と導入効果
2019年4月16日(火)松尾 順(ハートコア DX事業本部 ProcessMining部 シニアマネージャー/データサイエンティスト)
2000年前半から学術研究としての取り組みが始まった「プロセスマイニング」がここにきて脚光を浴びている。すでに欧米の先進企業がプロセスマイニングツールを駆使して全社の業務プロセスや顧客行動を可視化・分析し、業務生産性の向上やビジネス価値の向上につなげている。主要プロセスマイニングツールの1つ「myInvenio」の国内販売を行う立場から、この手法/ツールの大きなポテンシャルを紹介したい。
プロセスマイニングとは?
プロセスマイニングとは何か。定義を試みるなら以下のようになる。
──プロセスマイニング(Process Mining)とは、ERPやSFA/CRM、MA(マーケティングオートメーション)、Webサイトといった各種のアプリケーションで記録されるイベントログを元に、業務プロセスや顧客行動(カスタマージャーニー)を可視化して分析し、最適化のための洞察を得る手法およびツールのことである──
イベントログは、各種システム/アプリケーション上での操作1つ1つを個別に記録したデータであり、企業によっては数百から数千万件に及ぶビッグデータとなる。プロセスマイニングは、文字どおり、イベントログというビッグデータに採掘(マイニング)を行い、業務プロセスに潜む無駄な工程やボトルネックを発見しようとするアプローチである(画面1)。
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プロセスマイニングの歴史
プロセスマイニングは、2000年前半から学術研究としての取り組みが始まった。学術研究の総本山と言えるのはオランダのアイントホーフェン工科大学(Eindhoven University of Technology)で、同大学でプロセスマイニング研究を率いたコンピュータサイエンティスト、W.ヴァン・デ・アールスト(W. Van der Aalst)氏(現職はドイツのアーヘン工科大学〈RWTH Aachen University〉教授)は「プロセスマイニングのゴッドファーザー」と呼ばれている(写真1)。
ビジネス分野でのプロセスマイニング活用が始まったのは、欧米企業を中心に2010年代前半からである。ビジネス応用が進んだ背景には、デジタルトランスフォーメーション(DX)、すなわち企業のデジタル化が進み、企業活動の多くがシステム上でイベントログとして記録されるようになってきたこと、また、商用のプロセスマイニングツールが登場したことがある。欧米ではここ数年で、急速にプロセスマイニングが普及し始めている。
日本では、まだプロセスマイニングという言葉は聞き馴れない状況だ。それでも、イタリアのコグニティブテクノロジー(Cognitive Technology)が開発した「myInvenio」をはじめ(筆者が所属するハートコアで国内販売開始)、欧米のさまざまなプロセスマイニングツールが日本に紹介される予定で、2019年は「プロセスマイニング元年」と呼ばれる年になろうとしている(関連記事:海外で導入が進む「プロセスマイニング」をご存じですか?/ハートコア、業務プロセスを可視化するプロセスマイニングソフト「myInvenio」を販売/RPAの次に来る"大波"「プロセスマイニング」は何が凄いか)。
●Next:プロセスマイニングが威力を発揮するプロセスは? 手法の特徴は?
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