NTTデータは2019年4月19日、説明会を開き、ユーザー企業のデジタル変革に合わせてSIサービスを変革する取り組みについて説明した。デジタル変革のためのコンサルティングに注力するほか、大規模システムにアジャイル開発を適用する。NTTデータのSI事業を技術で支える組織「システム技術開発本部」が関与するプロジェクトの売上実績は、2018年度に300億円。2019年度はこれを倍増させて600億円にする。
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「以前の情報システムは、業務を電子化するものだった。最も重要なものは業務の知識であり、技術の意味合いは小さかった。ところが、こうした情報システムはすでに一巡した。今は、技術自身がビジネスを変革するようになってきた」──。NTTデータの技術革新統括本部でシステム技術本部長を務める冨安寛氏(写真1)は、技術がビジネスを生んでいる現況を、こう説明する。
NTTデータはこれまでも、SIベンダーしての開発生産性を高める取り組みとして、フレームワーク部品などを提供する開発標準「TERASOLUNA」や、標準の開発基盤「統合開発クラウド」などを整備してきた。2018年度にTERASOLUNAを適用した開発プロジェクトは1193件で、適用率は87%に達する。開発環境クラウドの利用件数は2018年度に569件(累計880件)と増えている。
今後は、デジタル技術によって生まれるビジネスを、これまで以上に支援できる体制を整える。具体的な取り組みとして、新設組織の1つ「デジタルテクノロジ推進室」が、ユーザー企業との接点となり、デジタル変革のコンサルティングサービスを提供する。もう1つの新設組織「デジタル技術部」は、SIプロジェクトにアジャイル開発を適用できるように、大規模システムにアジャイル開発を適用するための方法論とツールを整備する(図1)。
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取り組みの1つとして、デジタルテクノロジ推進室が、ユーザー企業のデジタル変革を支援するコンサルティングサービスを提供する。デジタル技術を駆使する人材「デジタルテクノロジーディレクター」をデジタルテクノロジ推進室内に確保し、ユーザーの懐に入ってユーザーとともにデジタル変革を支援する。システム構築に至るアセスメントや戦略立案などを提供する。
デジタルテクノロジーディレクターの人数は、2018年度に60人だった。2019年度に100人、2020年度に130人、2021年度には200人にまで増員する。
もう1つの取り組みとして、デジタル技術部が、社内のSIプロジェクトにアジャイル開発を適用できるように、大規模システムにアジャイル開発を適用するための方法論とツールを整備する。アジャイル開発のフレームワークとして「Scaled Agile Framework」(SAFe)を使う。
「5~10人の少人数でチームを組んでシステムを高速に開発するスクラム開発が世間的に定着している。昨今では、対象となるシステムが大規模化している」──。NTTデータの技術革新統括本部システム技術本部デジタル技術部で技術部長を務める平岡正寿氏は、アジャイル開発の現況をこう説明する。
複数のサブシステムで1つの業務が作られているように、複数のチームで大規模システムの開発にあたる。このやり方は、理屈は正しいけれど、システム全体をマネジメントするのは難しいと平岡氏は指摘する(図2)。これを解決するための方法論とツールを整備する。
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