NECは2019年6月6日、これまで難しかった幼児(1~5歳)の指紋認証の実用化を目指す試みとして、開発途上国におけるワクチン普及を目的とした活動に参加したと発表した。技術検証では、幼児の指紋画像をNECの指紋認証エンジンで照合したところ、認証率は99%となり、高い精度を達成した。2020年前半に、バングラデシュとタンザニアで、幼児指紋認証の実証実験を行う。
NECは今回、指紋認証エンジンを、幼児の指紋を読み取る用途に最適化した。技術検証では、スキャナで撮影した幼児の指紋画像を照合した(写真1)。1対N認証で本人が本人であると判定される確率(認証率)は99%となり、高い精度を達成した。
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開発の背景について同社は、幼児は指先が柔らかいため、指紋が変形しやすく、画像が不鮮明になりやすいことを挙げている。このため、従来の指紋抽出・照合エンジンでは認証が困難だったという。
幼児の指紋認証を実用化する目的は、開発途上国におけるワクチンの普及である。指紋認証で本人を特定することで、ワクチンの公平な配布と接種記録の管理に貢献する。指紋画像と氏名・年齢・性別などの情報を組み合わせることで、IDを保有していない幼児でも指紋認証によって本人を確認できるようになる。
開発途上国におけるワクチンの普及が狙い
幼児の指紋認証の実用化にあたってNECは、予防接種を推進するGaviワクチンアライアンス、および指紋スキャナを提供する英Simprints Technologyとの間で、開発途上国の予防接種率向上を目的とした生体認証の活用に関する覚書を締結した。3者が協力して幼児指紋認証の実用化を目指す。
Gaviワクチンアライアンスは、予防接種を推進し、世界の子どもたちの命を救い健康を守ることを目的として、2000年の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で設立された世界同盟である。
NEC、Gaviワクチンアライアンス、英Simprints Technologyの3者は、2020年前半にバングラデシュとタンザニアで幼児指紋認証の実証実験を行う予定である。また、今後も活動を拡大し、各国政府や国際機関・団体と連携していく。