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NEC、高エネルギー加速器研究機構と国立環境研究所からベクトル型スパコンを受注

2019年6月26日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)

NECは2019年6月26日、大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構と国立研究開発法人国立環境研究所の2つの組織からスーパーコンピュータ「SX-Aurora TSUBASA」を受注したと発表した。高エネルギー加速器研究機構では同年4月に運用を開始しており、国立環境研究所では2020年3月から運用を開始する。

 今回2つの組織がNECに発注したSX-Aurora TSUBASAは、NECのベクトル型スーパーコンピュータであるSXシリーズの現行システムである(関連記事NEC、x86とベクトルプロセッサを組み合わせた新型スパコン「SX-Aurora TSUBASA」)。最大の特徴は、汎用のx86サーバーとベクトルプロセッサを組み合わせたことである(写真1)。

写真1:SX-Aurora TSUBASAのベクトルエンジンの外観。汎用x86サーバーに搭載するPCI Expressカードとして実装している。ベクトルプロセッサとメモリーを積んでいる写真1:SX-Aurora TSUBASAのベクトルエンジンの外観。汎用x86サーバーに搭載するPCI Expressカードとして実装している。ベクトルプロセッサとメモリーを積んでいる

 ベクトル型スパコンの特徴として、メモリーのバンド幅がプロセッサ当たり1.2TB/秒と広い。このため、大容量データを一括処理する大規模シミュレーションなどの用途に向く。この一方で、使い勝手を重視している。OSはLinuxが動作し、x86向けに書かれたコードを専用のコンパイラ(Fortran、C、C++)で再コンパイルするだけで、ベクトルエンジン上で動作するアプリケーションが得られる。

 今回発注したユーザーの1つ、高エネルギー加速器研究機構(KEK)は、共同利用プログラム「素粒子原子核宇宙シミュレーションプログラム」を実施するためにSX-Aurora TSUBASAを導入する。国内の素粒子・原子核・宇宙物理学分野でのシミュレーション研究に関わる全国共同利用システムとして活用する。

 導入したシステムは、SX-Aurora TSUBASA A500-64(64VE)で、理論性能は156.8TFLOPS。倍精度浮動小数点演算性能の高さとメモリーバンド幅の広さによって、素粒子・原子核・宇宙分野のシミュレーションにおいて高い性能を実現しているとしている。

 もう1つのユーザー、国立環境研究所は、大気汚染や水質問題などの地域的な環境問題、化学物質による環境影響、地球温暖化をはじめとする地球環境問題などを研究している。大気や海洋における複雑な自然現象の再現や予測を長期かつ全球的にシミュレーションするなど、地球環境の中で起こるさまざまな現象・問題を扱う研究にスパコンを利用している。

 こうした、大規模な計算、将来予測やモデル解析に関する数値シミュレーション、各種データの解析処理などにおいては、長期間かつ広範囲な空間的領域を対象とする。今回導入するシステムは、SX-Aurora TSUBASA A511-64(256VE)で、理論性能は620TFLOPSとなる。現行システムであるSX-ACEの約6.3倍の計算性能になる。

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