[市場動向]

MM総研大賞2019、富士通の高速計算技術「デジタルアニーラ」が大賞に

2019年7月16日(火)杉田 悟(IT Leaders編集部)

MM総研は2019年7月11日、「MM総研大賞2019」の審査結果を発表した。2部門9分野で11組が最優秀賞を受賞し、大賞には富士通のアニーリング計算技術「デジタルアニーラ」が選ばれた。デジタルアニーラはものづくり優秀賞も併せて受賞した。

 MM総研大賞は、ICT分野の市場、産業の発展を促すきっかけとなることを目的に、2004年に創設した表彰制度である。今回が16回目となる(関連記事MM総研大賞2018、NEC製スパコン「SX-Aurora TSUBASA」が大賞に)。

 今回は、スマート社会の核となるスマートソリューション部門の9分野とコラボレーション部門で、計11組13社(単独受賞9社、共同受賞2組)を最優秀賞に選出。加えて、ものづくり分野で代表的な商品としてものづくり優秀賞を1社、ICT産業で大きな話題となった製品・サービスを話題賞として4社選出している。このうち、ものづくり優秀賞に選ばれた富士通の「デジタルアニーラ」が、最高賞の大賞を同時受賞した。

 デジタルアニーラ(FUJITSU Quantum-inspired Computing Digital Annealer)は、量子コンピューティングに着想を得たデジタル回路で、汎用コンピューターでは解答が困難とされる「組み合わせ最適化問題」を高速に解く計算技術(関連記事富士通、組み合わせ最適化を解くデジタルアニーラを8192ビットに拡張、オンプレ設置も可能に)。

写真1:授賞式で挨拶を行う富士通 代表取締役副社長の古田英範氏

 都内で行われた授賞式で、受賞企業を代表して挨拶に立った富士通 代表取締役副社長の古田英範氏(写真1)は「2018年の5月に商用サービスを開始しているが、海外からの問い合わせも多い。クラウドのプラットフォーマーからも興味を持たれている」と語った。また、審査委員長の東京通信大学教授 前川徹氏は「市場に出ている量子コンピューターサービスよりも制約が少なく、汎用的な活用が期待される」とポテンシャルの高さを評価した。

 スマートソリューション部門では、キャッシュレス決済分野でPayPayの決済サービス「PayPay」が、MaaS(Mobility as a Service)分野ではソフトバンクとトヨタ自動車の共同出資会社であるMONET Technologiesが「MONETコンソーシアムの設立」で最優秀賞に選ばれた。また、NTTデータの「WinActor/WinDirectorエコシステム」(RPA分野)、グーグル・クラウド・ジャパンの「G Suite」(働き方改革支援ソリューション分野)など実績のある製品・サービスも最優秀賞を受賞している。

 業種業界の枠を超えた連携による新たなビジネス創出の取り組みを表彰するコラボレーション部門賞では、決済、物流、通信ネットワークの分野で連携を進めるKDDIと楽天が最優秀賞に選ばれた。

 各賞の受賞企業、商品・サービスは表1のとおりとなっている。

表1:MM総研大賞2019 受賞企業/商品・サービス一覧(出典:MM総研)
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