企業間物流における情報のやり取りを電子化する基盤サービス「MOVO(ムーボ)」を運営しているHacobuは2019年9月19日、都内で説明会を開き、MOVOのサービスロードマップを発表した。これから実現する機能として、まずは納品書の電子化に取り組む。2025年頃からは、MOVO上に蓄積したビッグデータを分析して物流の課題を解決できるようにする。2030年には自動運転トラックの基盤として機能するようにする。
MOVO(ムーボ)は、企業間物流における情報のやり取りを電子化する基盤サービスである(図1)。運営会社のHacobuは、2015年に創業。株主には、アスクル、日野自動車、Sony Innovation Fund、大和ハウス工業、日本郵政キャピタル、三井不動産などがいる。2019年現在、MOVOでは、物流の課題を解決するための3つのアプリケーションを利用できる。
拡大画像表示
MOVO(ムーボ)で利用できる1つめの機能が、納品・入荷の予約である。納品事業者は、MOVOを使って倉庫への納品を事前(前日)に申請する。倉庫は、納品事業者に納品スケジュールを伝え、納品事業者は指定された時間にトラックで納品する。MOVOが無かったころは、すべてのトラックが朝に集中し、待機時間の問題が起こっていた。
アスクルが配送トラックの平均待機時間を1/3に削減
納品・入荷の予約機能によってトラックの待機時間を削減した事例が、アスクルである。以前は、関西のあるセンターの場合、均待機時間が42分で、全体の27%は待機時間が1時間以上になっていた。このため、配送業者からクレームが入っていた。
アスクルは、2019年2月にMOVOを導入した。これにより、待機時間を減らすことに成功した(図2)。平均待機時間は42分から直近では14~15分にまで減らせた。1時間以上待機するケースは、27%から4~5%へと減った。また、先が読めるようになったことから、入荷処理の作業効率も1~2割向上した。
拡大画像表示
物流ビッグデータ活用で運賃の動的設定も可能に
MOVO(ムーボ)で利用できる2つめの機能が、トラックの動態管理である。トラックに取り付けたIoTデバイスによって、トラックの現在位置や移動履歴を把握できる。MOVOではさらに、3つめの機能として、配送のマッチング機能がある。荷物を配送して欲しい事業者が「こういう荷物をここからここに運んで欲しい」という情報をMOVOに流すと、運送会社が手を挙げてマッチングが成立する。
今後は、MOVOで利用できるアプリケーションをさらに増やしていく。実現に向けて優先的に取り組む機能が、納品書の電子化である。現状では、配送ドライバーが紙の納品書を持って行ってにハンコを押してもらう運用になっておるが、これを改善し、MOVO上でオンラインで解決できるようにする。
●Next:物流ビッグデータを活用したアプリケーションの内容
会員登録(無料)が必要です
- 1
- 2
- 次へ >