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多摩市、AI-OCRとRPAの実証実験結果をWebで公開、導入によって増加した作業項目と時間も記載

2019年10月3日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)

多摩市は2019年10月3日、紙ベースの業務をAI-OCR(光学文字認識)とRPA(ロボットによる業務自動化)を組み合わせて自動化する実証実験の結果を公開した。試算では、職員が行う作業時間の約50%にあたる年間約261時間を削減できる。

図1:実証実験の概要と結果を『AI-OCRとRPAを組み合わせた業務改善実施報告書』(29ページのPDF)として公開している(出典:多摩市)図1:実証実験の概要と結果を『AI-OCRとRPAを組み合わせた業務改善実施報告書』(29ページのPDF)として公開している(出典:多摩市)
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 多摩市がAI-OCRとRPAの実験を実施した対象業務は、(1)「法人住民税 法人設立届出書入力業務」、(2)「児童手当 所得異動入力業務」、(3)「保育園入所申込書入力業務」、の3業務である。業務に合わせて、従来型OCR、項目認識AI-OCR、RPAを組み合わせて検証した。実験は、RPAソフト「UiPath」を提供したUiPathおよびインテックの協力の下で実施した。

 各業務での作業自動化の検証に加えて、(1)についてはAI-OCRの読取能力を確認、(2)についてはシステム間の連携を確認、(3)については様式変更や業務プロセスの改善との相乗効果を確認した。多摩市では今後、実験で得られた成果を活かし、速やかに実装を行うとしている。

 実証実験の概要と結果は、『AI-OCRとRPAを組み合わせた業務改善実施報告書』(29ページのPDF)としてまとめ、多摩市のWebページで公開している(図1)。特徴は、3業務の自動化によって削減した作業項目と時間だけでなく、導入によって増加した作業項目と時間も記していることである(図2)。

図2:報告書では、AI-OCRとRPAの導入によって削減できた作業項目と増えた作業項目を、対象業務ごとに明らかにしている(出典:多摩市)図2:報告書では、AI-OCRとRPAの導入によって削減できた作業項目と増えた作業項目を、対象業務ごとに明らかにしている(出典:多摩市)
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 (1)の法人設立届出書入力業務では、活字の定型様式をOCRで読み取り、読み取ったデータを最終的に基幹システムに登録するまでを自動化した。1件あたりの処理時間は、AI-OCR処理やCD-ROMによるデータファイルの書き込み/移動/読み込みのハンドリング作業によって増えた。一方、ハンドリング作業は件数に影響しないため、年間(150件想定)では約1.56時間の削減になる。

 (2)の保育園入所申込書入力業務では、eLTAXデータ(CSVファイル)の所得情報をRPAを使って基幹系システムに登録するまでを自動化した。1件あたりの時間は、CD-ROMによるデータファイルの書き込み/移動/読み込みのハンドリング作業が増えたために増えた。年間(1320件想定)では約22.52時間の削減になる。

 (3)の保育園入所申込書入力業務では、手書きの定型様式をOCRで読み取り、読み取ったデータを最終的に基幹システムに登録するまでを自動化した。業務システムへのデータ入力項目数が多いため、他の業務と比べて1件あたりの作業時間が多く、年間(1240件想定)で約237.13時間(29人日)の削減になる。1件あたりの処理時間も削減できた。今後1台のPCで業務システムとRPAを動作させた場合、ネック部分であるファイル移動がなくなるため、さらに時間を削減できる。

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