産業用ロボットではない物理的なロボットといえばソフトバンクの「Pepper」が有名だが、最近はめっきり見かけなくなった。そんな中、新たに家庭や事業所、商業施設などにロボットを普及させる動きが出てきた。仕掛け人は、怪獣型のロボットが接客することで知られる「変なホテル」を作った富田直美氏。ロボットの事業会社であるhapi-robo stを足場に、米国製のロボットを2019年11月に発売すると発表した。
ロボットの開発サポートやプロデュース
hapi-robo st(ハピロボ)はロボットを開発するのではなく、開発のサポートやプロデュースを行う企業。HIS取締役会長の澤田秀雄氏が会長、富田氏が社長を務める(写真1)。今回は米国のtemiと総代理店契約を結んでtemiが開発した同名のロボット、「temi」を29万8000円(税別)の価格で2019年11月1日に売り出す。日本語対応や販売、サポートなどはハピロボがパートナー企業と組んで実施する。ちなみに米国での価格は1999ドルである。
temiは”The Personal Robot”と形容されるが、利用者の分身としてほかの人と交流できる、いわゆるテレプレゼンス・ロボットと言った方が分かりやすい。遠隔で家族や知人と会話したり、在宅のまま会社の会議に出席したり、店舗などで顧客を案内したりといったことができる。見た目は自律走行のための駆動部の上に、胴体を介してタブレット(10.1インチ)が備わるイメージだ(写真2)。タブレットの後部には手を置ける部分があり、「お年寄りにとって、動く杖としても使える」(富田氏)。
主要なスペックを書くと高さは1mで重さは12kgと、小型なので圧迫感はない。バッテリーを内蔵し、最大8時間動作する。駆動輪は2輪でスピードは時速1kmだ。駆動側にはCPUにARM Hexa core、OSにLinux、画面側にはそれぞれARM Quad coreとAndroidという、2つのシステムを搭載する。AndroidベースなのでAIスピーカー機能や家電の操作も可能。つまり分身としてだけではなく、自分用のスマートデバイスとしても使える。多くの処理をローカルでこなすため、応答の時間遅れがほとんどないのもtemiの特徴だ。
駆動部には、各種センサーから取得した情報を元に自己の位置推定と地図作成を行う「SLAM(Simultaneously Localization and Mapping)技術」を備える。これを使って最初に利用者の後を追従させ、内部に地図を作る。以降は音声や画面のメニューで任意の場所に移動する。障害物を認識・回避する機能があるので、人が横切ったり、動線上にモノがおかれたりしてもぶつかることはない。何らかの操縦や操作は不要で、「子供から高齢者まで誰もが使える」(富田氏)ようにした。価格は税別で29万8000円。WiFiやBluetoothでつながるので追加の費用は必要ない。
●Next:パートナーには意外な企業名も
会員登録(無料)が必要です
- 1
- 2
- 次へ >