[市場動向]
自治体クラウドJip-Baseのストレージ障害は70%が復旧済み、15%はバックアップ見つからず─日本電子計算が報告
2019年12月16日(月)日川 佳三(IT Leaders編集部)
日本電子計算(JIP)は2019年12月16日、自治体専用の共同利用型クラウド基盤「Jip-Base」で同年12月4日に発生したストレージ障害について詳細を報告した。該当ストレージはデル テクノロジーズ/EMCジャパン製で、ファームウェアの不具合が原因である。現時点で全1318の仮想サーバーのうち70%がIaaSサービスとして復旧を完了した。現時点バックアップデータが見つからない15%については自社のみでの復旧が不可能と判断した。残り15%はバックアップデータからの復旧待ちおよび確認中である。
2019年12月4日、日本電子計算が運営している自治体専用の共同利用型クラウド基盤(IaaS)「Jip-Base」において、ストレージのファームウェアの不具合を原因とするシステム障害が発生した。これにより、同サービス上で稼働する全国約50の自治体システムの一部サービスが利用停止に陥った(関連記事:全国約50の自治体でWeb/電子行政サービスがダウン、自治体専用IaaS「Jip-Base」でシステム障害)。
日本電子計算は同年12月16日、現時点での復旧状況をコーポレートサイトで『「Jip-Base」の障害における復旧状況のご報告』と題し報告した。報告書では、今回の障害原因となったストレージはデル テクノロジーズ/EMCジャパン(Dell EMC)から導入したものであることや(製品提供:デル テクノロジーズ/保守:EMCジャパン)、現時点での障害復旧の状況などを報告した。
今回障害が発生した全1318の仮想サーバーの70%はIaaSとして復旧を完了しているが、残りの30%は復旧には至っていない。対応状況の経緯は、図1のとおりである。
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日本電子計算は現在、親会社であるNTTデータと共に障害復旧対策本部を設置し、200人強の体制で復旧作業にあたっている。
未だ30%は復元できず、うち15%はバックアップ見つからず
現時点でのシステムの復旧状況を説明している(図2)。
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仮想サーバーが起動して復旧に成功したサービスは、障害で停止したシステム全体の70%である。これらについては、障害発生前と同様に、IaaSサービスとして提供を開始している。
仮想サーバーがいまだに起動していないシステムについて同社は、2つの状況を説明している。
復旧可能なバックアップデータが存在しているケースについては、バックアップデータから仮想サーバーイメージと業務データを復旧したうえで、IaaSサービスの提供を再開する。ただし、バックアップの実態によって業務データが数時間~数週間巻き戻ることになるため、復旧方法と対応をユーザーと調整する。
復旧可能なバックアップデータが見つけられないケースについては、ユーザーと個別に調整したうえでサービスを再開する。
●Next:発生したストレージ障害とデータ障害の詳細
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