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最高裁、民事訴訟事件の争点整理にMicrosoft Teamsを採用、Web会議や資料共有を活用

2020年1月9日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)

最高裁判所(東京都千代田区)は、民事訴訟手続きをIT化する手段としてビジネスチャット/コラボレーションツール「Microsoft Teams」を採用した。まずは、民事訴訟事件の争点整理にTeamsを活用する。2020年2月から9カ所の裁判所、同年5月頃から5カ所の裁判所で扱う民事訴訟事件で利用する。日本マイクロソフトが同年1月9日に発表した。

 最高裁判所は、民事訴訟事件の争点整理にMicrosoft Teamsを活用する(図1)。Teamsは、Office 365で利用できるビジネスチャット/コラボレーションツールである。チャットによる会話機能を中核に、資料の共有や同時編集、Web会議や企業向け電話機能、各種アプリケーションとの連携といった機能を利用できる。

図1:Teamsの採用で、裁判所に出向くことなく争点整理ができるようになった。Web会議や資料の共有などができる(出典:日本マイクロソフト)図1:Teamsの採用で、裁判所に出向くことなく争点整理ができるようになった。Web会議や資料の共有などができる(出典:日本マイクロソフト)
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 これまでの民事訴訟手続きの争点整理手続は、場所の制約があった。電話会議では、裁判の当事者や裁判官が互いに表情を見ることができなかった。また、ビデオ会議システムを使う場合は、当事者が最寄りの裁判所まで出頭しなければならなかった。また、電話会議やビデオ会議では、裁判官と当事者が同じ書面や図面の同じ箇所を見ながら協議するといったことも難しかった。

 このような制約の下、この領域では、ビデオ会議システムなどの利用が進んでこなかった。一方で、遠隔地間の訴訟では出張を伴うため、当事者や代理人弁護士の移動時間や費用などの負担が増えていたという。「裁判所と当事者で裁判期日の調整を行う際には、移動時間を含めて調整する必要があり、なかなか都合が合わなかった」(日本マイクロソフトの発表より)

 今回、裁判手続のIT化を実現するフェーズ1の取り組みとして、争点整理においてTeamsを採用し現場で活用することにした。これにより、裁判の関係者は、場所にとらわれることなく、Teams上で資料を同時に閲覧し、表情なども確認しながら争点を確認、議論できるようになったという(表1表2)。

表1:民事訴訟の争点整理におけるMicrosoft Teamsの活用例
裁判所に出頭していない当事者の顔の表情を見ながら争点整理ができる
TeamsのWeb会議機能を利用して、訴訟関係者が1カ所に集まることなく、弁護士事務所などから争点整理に参加できる
Teamsの資料共有や同時編集の機能を利用して、裁判所が作成した「争点整理案」の骨子に双方が主張を書き込んで1つの書類を完成させる
争点を整理するための資料や、契約書などの関連資料をTeamsで共有する。関係者全員が同じ場所にいるかのように文書を確認し、争点を確認・議論・協議できる
表2:民事訴訟の争点整理にMicrosoft Teamsを活用することで期待できる効果
Teamsを利用したWeb会議を利用すれば、移動時間を考慮することなく争点整理手続のための期日を設定できる。結果的に裁判期間が短くなる
争点整理手続のために裁判の関係者が遠方に出張する必要がなくなる。当事者や弁護士の時間、および弁護士の出張や移動時間にかかる費用を節約できる
平成30年に全国の地裁に提訴された民事訴訟(約13万9000件) のうち4割以上にあたる約6万件で争点整理が実施されていることから、Teamsの利用を契機に争点整理のプラクティスを見直すことで争点整理が充実する
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