東京ガスグループの情報システム会社である東京ガスiネットは、ガス管を整備管理する地理情報システム(GIS)の稼働確認作業を自動化した。年間で1人月弱の工数を削減した。システム改修時のテストも自動化し、1回あたり10人日の工数を削減した。自動化ツールとして、運用自動化ツール「Operations Orchestration」とテストツール「Unified Functional Testing」を採用した。自動化ツールの開発元は英Micro Focusで、アシストが導入を支援した。
東京ガスiネットは、ガス管を整備管理するため、約40種の地理情報システム(GIS)を開発・運用している。ガス管の工事やガス漏洩検査など、日常的なガス供給、防災・保安に影響を及ぼすことから、常に正常に稼働することが求められている。
同社は毎日早朝、人手でシステムの稼働確認を行うなど、従来は人力によってシステムの正常稼働を実現してきた。また、システムの改修時に、品質確認のため数千におよぶテストを手作業で行っていた。このため、運用の工数がかさむうえ、テスト時の人員確保やシステムの品質保証などで課題を抱えていたという。
こうした経緯から、システム運用作業の自動化と、システム動作テストの自動化に対する要求が高まっていた。また、手動での対応はシステムの操作方法やノウハウの属人化も生むため、緊急時の対応が懸念されていた。
システムの動作確認を自動化、年間で1人月弱の工数を削減
上述の課題を解決するにあたって、アシストからの提案を受け、システムの稼働確認や機能テストなどを自動化する目的で、機能テストツールの「Unified Functional Testing」を採用した(図1)。さらに、Unified Functional Testingへの定期的な実行命令やメール通知といった運用面の自動化を行うため、ランブック自動化ツール「Operations Orchestration」を採用した。いずれも開発元は英Micro Focus(日本法人:マイクロフォーカスエンタープライズ)である。
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2つのツールを導入した効果は高かった。システムの動作確認については、年間で1人月弱の工数を削減できた。システム改修時のテストについては、1回あたり約10人日の工数を削減した。また、担当者に依存しない稼働確認やテストの仕組みと情報共有によって、属人化を排除できたという。
東京ガスiネットは2020年度にかけて、グループ内の約30のシステムをクラウド環境へ移行する計画を立てている。Unified Functional Testingで作成したテストシナリオをそのまま利用することで、テスト期間の大幅短縮を見込む。また、削減した時間を利用して業務の棚卸を進めることで、現状以上の業務自動化を検討する。
●Next:機能テストツールのUnified Functional TestingはRPA用途でも利用可能
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