[調査・レポート]

生命保険の国内InsurTech市場は2022年度に2450億円に拡大―矢野経済研究所調べ

商品開発へのAI活用や健康増進型保険などが市場を拡大

2020年3月13日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

矢野経済研究所は2020年3月12日、生命保険領域における国内InsurTech(インシュアテック)市場を調査し、現況、領域別の動向、および将来展望を発表した。2019年度の市場規模は890億円の見込みで、2022年度には2450億円に達する。要因として、AIやRPA(ロボットによる業務自動化)の活用領域が、商品開発や保険営業領域などに拡大している。

 矢野経済研究所は、生命保険領域のIT活用(InsurTech:インシュアテック)の国内市場規模について、推移と予測を発表した(図1)。2019年度の国内InsurTech市場規模(参入事業者売上高ベース)は、890億円を見込む。2022年度には、2450億円に達すると予測する。

図1:国内InsurTech(インシュアテック)市場規模の推移と予測(出典:矢野経済研究所)図1:国内InsurTech(インシュアテック)市場規模の推移と予測(出典:矢野経済研究所)
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 市場が拡大している要因の1つは、AIとRPA(ロボットによる業務自動化)の適用領域が広がっていること。AIは従来、不正検知を含めた支払査定などの保険金・給付金の支払領域や、アンダーライティング(引受査定)領域に使われていた。現在では、適用領域が広がり、保険商品の開発や募集人による保険営業領域などに使うようになってきた。

 保険商品も増える。将来的には、国内外の生命保険会社を問わず、健康増進型保険商品や疾病管理プログラムなどの提供が基本路線となる。実際に、2019年以降、外資系の生命保険会社が、健康増進型保険を投入し始めている。疾病管理プログラムについては、一部の国内の生命保険会社が、糖尿病の重症化予防に関する取り組みを始めている。

 2022年度からは、クラウド活用の広がりにあわせて、APIの公開に向けたシステム改修の出費も増えていく。今後、クラウドの活用が広まることで、生命保険業界においてもAPIの公開に向けた議論が高まる。大手であるほどシステム構成が複雑化しているため、システムの整理・改修が必要となる。

 法整備も、市場を拡大する要因となる。保険業法においては、保険業高度化など、会社への出資規制の緩和をはじめとした改正があった。また、「保険会社向けの総合的な監督指針(金融庁)」の一部改正では、InsurTech関連の保険商品における審査の透明性や効率的な審査を開始する方針を示している。「規制のサンドボックス」(現行法の規制を一時的に停止する仕組み。所管官庁に届け出て、相談の上、試験的に事業を進める手法)も動き出しており、新たな保険商品の創出に寄与している。

 ただし、支援環境は貧弱だと矢野経済研究所は指摘する。2017年後半から、生命保険会社やシステムベンダー主催のイベントだけでなく、複数の支援機関による関連イベントなどが登場している。しかし、FinTechと比較すると、支援はまだ少ないとしている。

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