[新製品・サービス]
Automation Anywhere、RPAプラットフォームを機能強化、外部AI利用が容易に
2020年4月23日(木)杉田 悟(IT Leaders編集部) IT Leaders編集部
オートメーション・エニウェア・ジャパンは2020年4月22日、RPAプラットフォーム「Automation Anywhere Enterprise A2019」の追加機能を発表した。他社製のAIエンジンやクラウドサービスと連携するためのコマンドを拡充したほか、自社のAIソリューションであるIQ Botをクラウドサービスとして提供する。
外部AIエンジンとの連携コマンドを追加
Automation Anywhere Enterprise A2019の中核となるのが、RPAツール本体、AIソリューションと呼ばれる「IQ Bot」、ボットの行動を分析・可視化する「Bot Insight」、RPA化に適した業務を自動的に判別する「Discovery Bot」で構成された「AI-powered Intelligent Platform」である。ここに、複数の外部クラウドサービスとの連携、オンプレミスを含む柔軟なデリバリーなどの特徴が加わる(図1)。
IQ Botは、AIアルゴリズムを用いて定型処理を自動化するためのツールで、学習することで精度が上がっていく。例えば、紙の帳票や請求書・発注書、メールやレポートといった非構造化ファイルからデータを抽出し、CSVファイルなどに変換するといったプロセスを自動化できるという。
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Enterprise A2019のRPAツールでは、あらかじめ用意されたコマンドをドラッグ&ドロップで追加していくかたちでボットを作成できる。これまで自社製のIQ Botと連携するためのコマンドしか用意されていなかったが、今回、外部のAIエンジンと連携するためのコマンドを追加した。
追加したのは自然言語処理、画像処理などコグニティブサービス用のコマンドだ。2020年4月時点で、自然言語処理ではAWS Comprehend NLP、IBM Watson Authentication、Microsoft LUIS NLP(いずれもベータ版)、画像処理ではインテルが開発したオープンソースのOpenCVに対応している(図2)。
これまで、Enterprise A2019で外部AIを連携させるには、担当者が利用するAIサービスのAPIについて習得したうえで、JavaやPythonのスクリプトを動かすための実行環境をクライアントにインストールし、ボットの中にスクリプトを記述する、という手順が必要だった。
同社セールスエンジニアリング本部シニアマネージャーの岩名健二氏は「これが、ビジネス部門の担当者にとってハードルが高く、導入の障害になっていた」と説明。今回、RPAツール自体にAIを呼び出すためのコマンドを取り入れたことで、AIとの連携を図りやすくなったとアピールする。
加えて、「クラウドサービスの中で、API連携したほうが便利になるサービスに対するコマンドも拡充した」(同氏)という。マイクロソフトのOffice 365とグーグルのG Suiteがそれで、Office 365は79種類、G Suiteは34種類のコマンドが用意されている。これらは基本ブラウザ上で使うため、ファイルを開く/保存するというシンプルな作業でもRPA化するのに手間がかかっていた。今回の拡充でAPI連携の恩恵をより受けやすくなるという。
セキュリティ面では、A2019に組み込まれている、IDパスワードを暗号化する機能「Credential Vault」が利用可能になった。G SuiteやAWSを法人契約していると、クラウドサービスとのAPI連携でアクセスキーが必要になる。アクセスキーは通常、クラウドサービス管理者が一元的に管理している。エンドユーザーに公開してしまうと「何でもできてしまう環境」になるためだ。それがCredential Vaultを使うと、アクセスキーとそのためのシークレットキーというセットを暗号化したままでロボットの開発・実行が可能になる。
定型入力フォームを作成する「Interactive Forms」も新機能として加わった。RPA化を進める業務プロセスの中で、例外処理や人の判断、承認が必要なケース、あるいは複数のアプリケーションを介するケースなど、いったんボットを終了させて、人が処理を行って再稼働させる場合がある。Interactive Formsは、人に応答や選択肢を求める際に、RPAがフォームを作成・提示して、そこで得られた結果をロボットに受け渡して処理を続ける。
●Next:IQ Botクラウド版のメリットとオンプレミス版との違い
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