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多機能ミッドレンジストレージ新製品「Dell EMC PowerStore」、ESXi搭載で任意のアプリを稼働
2020年5月14日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)
デルとEMCジャパンは2020年5月14日、多機能ミッドレンジストレージの新製品「Dell EMC PowerStore」を発表した。SAN/NAS統合ストレージであり、スケールアップ/スケールアウトで性能や容量を拡張できる。OSソフトウェアはコンテナベースとしたほか、バックアップソフトなど任意のアプリケーションを同居させられるようにサーバー仮想化ソフト(VMware ESXi)を搭載したモデルも用意している。価格(税別)は、880万円から。
Dell EMC PowerStoreは、多機能ミッドレンジストレージである(写真1)。2Uラックマウントの筐体に、ミッドレンジストレージに求められる機能群をオールインワン型で搭載したとしている。SAN(FC/iSCSI)とNAS(NFS/SMB)の統合ストレージであり、NVMe over FCによる接続も予定している。データ記録用のドライブとして、NVMe接続のSSD、SAS接続のSSD、NVMe接続のSCM(米IntelのOptane)を使える。
これまでのストレージ製品と比べた特徴の1つは、ストレージ上で任意のアプリケーションを稼働させられるように、サーバー仮想化ソフトウェアのVMware ESXiを搭載したモデル「PowerStore Xモデル」を用意していること。VMware ESXi上の1台のVM(仮想サーバー)として、ストレージのOSソフトウェア「PowerStore OS」を動作させている。同機能を「AppsON」と呼んでいる。
AppsONでは、コントローラのハードウェア上で、ストレージOSと並行して、データバックアップソフトウェアやデータ分析アプリケーションなど、任意のアプリケーションを稼働させられる(図1)。汎用的なワークロードに向いたHCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)に対して、AppsONでは、ストレージデータへのアクセスに主眼を置いたワークロードを、より高速・低遅延で利用できる。
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VMware ESXiを搭載せずに、OSソフトウェアをコントローラ上で直接動作させたモデル「PowerStore Tモデル」も用意している。外部のサーバーからブロックストレージを高速に利用する用途に適している。
OS「PowerStore OS」はコンテナベースに
なお、OSソフトウェアのPowerStore OSは、Dell EMCとしては初めて、コンテナべースのアーキテクチャを採用した。個々のストレージ機能を、それぞれ独立したコンテナとして実装している。これにより、個々の機能単位で、他の機能を止めることなく、機能のアップデートなどができる。PowerStore OSは今後、ハードウェアをともなわないSDS(ソフトウェア定義型ストレージ)のストレージコントローラ製品として提供する予定である。
PowerStore OSでは、外部の運用管理ソフトウェアなどからストレージの管理や設定、プロビジョニングなどを制御するためのプラグイン機能などを用意している。コードベースでインフラの構成や設定を変更できるAnsibleなどを介して、ストレージを制御できる。コンテナのオーケストレーションソフトウェアであるKubernetesからも制御できる。
マシンラーニングでノード間のバランス調整を提案
PowerStoreのストレージコントローラは、アクティブアクティブの2ノードHA(高可用性)構成をとる。CPU性能やメインメモリー容量などに応じて、5種類のモデルを用意している。最下位モデルのPowerStore 1000(32コア/1.8GHz、メモリー384GB)から最上位モデルのPowerStore 9000(112コア/2.1GHz、メモリー2560GB)まで、全般に大容量メモリーを積んでいる。
最小構成は、コントローラ2ノードとドライブ格納シェルフ1基で、25ドライブを格納する。コントローラ2ノードのまま、シェルフ4基(ドライブ100台)まで容量を拡張できる。さらに、コントローラ8ノードまでスケールアウトできる。最大構成時は384ドライブで、物理容量は3.59PB、重複排除/圧縮による実効容量は11.36PBになる。
ストレージの負荷が特定の筐体に集中しないように、データを筐体間で移動する作業を支援する機能も備える。マシンラーニング(機械学習)のエンジンを搭載しており、どのデータをどの筐体に移動するとよいかを提案してくれる。これにより、ボリュームの再バランシングにかかる時間を削減する。