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[ユーザー事例]

“組織のデジタルツイン”でプロセス改善を迅速化─独ボッシュのプロセスマイニング実践

Celosphere Live 2020[事例編:独ロバート・ボッシュ]

2020年5月19日(火)鈴木 恭子(ITジャーナリスト)

クラウド型プロセスマイニングツールを提供する独Celonis(セロニス)が、2020年4月28日(ドイツ現地時間)から3日間にわたり開催したオンラインコンファレンス「Celosphere Live 2020」。そのオープニングに、自動車部品・電動工具メーカーとして世界的に知られる独ロバート・ボッシュ(Robert Bosch)が登場。プロセスマイニングの導入に至った経緯から、Celonisを活用して“組織のデジタルツイン(DTO)”を構築し、業務プロセスの可視化・改善につなげた一連の取り組みをみずから紹介した。

●Celosphere Live 2020[技術動向編]プロセスの発見から自律/自動化へ─プロセスマイニングの進化と超流動企業への道筋
●Celosphere Live 2020[事例編]プロセス可視化・改善で先進13社が取り組んだこと─Uber、BMW、Bosch、ABBなど欧米プロセスマイニング事例

 社内に蓄積された大量のイベントログデータを活用し、業務プロセスを再構成することで、業務効率化を支援するプロセスマイニング。業務プロセス改革の有効なアプローチとして欧米企業を中心に導入が加速している。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でオンライン開催となった「Celosphere Live 2020」は、初開催の前回を大幅に上回る1万7000人以上の聴講者を記録、世界的な関心の広がりが数字にも示されたかたちだ。

 プロセスマイニングの価値に着目して導入に動いた企業は、具体的にどのような観点でツールを選定し活用したのだろうか。Celosphere Liveには、欧米の大手ユーザーのキーパーソンが出演し、その実践を語った。本稿では独ロバート・ボッシュ(Robert Bosch、画面1)の取り組みを紹介する。

画面1:近年はAIやIoTを活用した製品開発にも注力している独ボッシュ

独ボッシュが抱えていた業務プロセスの課題

 1886年創業のボッシュは自動車部品や電動工具などのグローバルメーカーである。従業員数は約40万人(2019年12月31日現在)で、2019年度の売上高は777億ユーロ(約8兆9000億円)。約460の子会社を擁し世界60カ国以上で事業を展開している。

 グループ全社の事業はモビリティソリューションズ、産業機器テクノロジー、消費財、エネルギー・ビルディングテクノロジーの4分野に大別される。2020年にはモビリティの電動化や自動化、ネットワーク化に対して10億ユーロ(約1150億円)以上を投資する計画を発表。さらに近年は、AIやIoTを活用した製品開発にも注力している(関連記事技術は生活のために─「人間が主、AIは従」のAI活用規範を定めた独ボッシュIndustrie 4.0のビジョンを次々と具現化する独ボッシュ)。

 Celosphere Liveに出演した、ボッシュ経営コンサルティング(BMC)部門ディレクターで、同社のプロセスマイニング責任者であるクリスチャン・ブルーマン(Christian Buhrmann)氏(画面2)は、同社が抱えているビジネスプロセスの課題として「複雑性」と「非効率化」を挙げ、以下のように課題を説明した。

画面2:独ボッシュ BMC部門ディレクターでプロセスマイニングの責任者を務めるクリスチャン・ブルーマン氏

 「さまざまな事業部門が多数あり、各事業部がビジネスを拡張するタイミングで(独自システムを)追加していたので、全社的な業務プロセスの一貫性がなくなっていた。また、伝統的な紙ベースのやり取りも随所に残っていた。グローバル規模でビジネスを拡張するには、現行のビジネスプロセスは限界に達しており、プロセスマイニングが必要だった」(ブルーマン氏)

 こうした課題を解決するために同社は、グローバルビジネスサービス全体でのプロセスマイニングの実施を決断。業務プロセス(フロー)の可視化や分析、モニタリング、ボトルネックの抽出といった機能を提供するプロセスマイニングツールの導入を検討し、「Celonis」の採用を決めた。

●Next:ボッシュがプロセスマイニング導入で苦労したこと、そして“組織のデジタルツイン”とは?

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