米Veeam Softwareの日本法人であるヴィーム・ソフトウェアは2020年6月18日、データバックアップ製品の新版「Veeam Availability Suite v11」を発表した。出荷時期は未定。Veeam Availability Suiteでは、同社としては初めて、CDP(継続的データ保護)機能を搭載する。また、仮想マシン単位ではなくデータベース(Oracle Database/SQL Server)部分を高速にインスタントリカバリできるようにする。
ヴィーム・ソフトウェアの「Veeam Availability Suite」は、データバックアップの運用管理業務を支援するソフトウェアスイートである。データバックアップソフトウェア「Veeam Backup & Replication」と、仮想環境を監視/可視化するソフトウェア「Veeam ONE」で構成する(関連記事:バックアップソフトウェアのVeeamが新版v10をリリース、仮想環境へのリカバリを高速化)。
写真1:Veeam Softwareの特徴を説明する、ヴィーム・ソフトウェア執行役員社長の古舘正清氏拡大画像表示
同社のデータバックアップソフトの特徴は、オンプレミスの仮想化環境やパブリッククラウド環境などが混在したマルチプラットフォーム環境のデータをバックアップできることと、システム障害時にデータを確実にリストアできるように可用性に注力していることである(写真1)。
マルチプラットフォームについては、OSにインストールするエージェントソフトウェアを用意しているほか、サーバー仮想化環境やパブリッククラウドと連携してエージェントレスでバックアップができる。バックアップファイルは、各プラットフォームで共通して使える可搬性の高い独自のファイル形式「.vbk」を採用。各種環境で作成した「.vbk」形式のバックアップデータを各種環境に復元できる。
システム障害時にデータを確実にリストアするための仕掛けとして、バックアップ済みのデータを使って実際にシステムを起動できるかどうかを事前に確認可能な検証環境を用意している。起動できることを確認した上で、本番環境に復元できる。また、必要なデータを素早く復元できるように、システム単位だけでなくファイル単位やアイテム単位で復元できるようにしている。
Veeamとして初めてCDP(継続的データ保護)を搭載
写真2:Veeam Availability Suite v11の新機能を説明する、ヴィーム・ソフトウェアでソリューション・アーキテクトを務める高橋正裕氏拡大画像表示
新版のv11では、同社のバックアップソフトウェアとしては初めて、CDP(継続的データ保護)機能を追加した(写真2)。これまでは、いったんバックアップ形式ファイルを定期的に生成してからこれをコピーし、バックアップ先に反映するというやり方でデータやサーバーを複製していた。CDPでは、データに更新があったタイミングで即座に更新をバックアップ先サイトに反映する。システム障害時に直前の状態に復旧できる。
バックアップ済みのサーバーイメージをサーバー仮想化環境に瞬時にリカバリするインスタントリカバリ機能も強化した。復元先となるサーバー仮想化環境を増やし、VMware vSphereだけでなく、Hyper-Vにも復元できるようにした。仮想環境と物理環境を合わせて、全方位で行き来できるようにする。また、NASファイルサーバーをリカバリする機能も実装する。
仮想マシン単位のインスタントリカバリだけでなく、データベースサーバー(Oracle DatabaseとSQL Server)を即座にリカバリする機能も追加する。仮想マシンよりも高速にデータベースを復旧できる。データベースサーバーを復元後にトランザクションログを使って直近のデータを反映する、といった作業が要らなくなる。
古いバックアップデータをオブジェクトストレージにコピーする機能も強化し、オブジェクトストレージとして新たにGoogle Cloud Storageを使えるようにする。AWS(S3互換)、Azure、IBMなどのオブジェクトストレージに加えてGoogleのオブジェクトストレージも使えるようにする。さらに、アーカイブ用にAmazon S3 GlacierとAzure Archive Storageも使えるようにする。
●Next:Veeam Availability Suite以外の3つの新製品
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