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東京医科歯科大と富士通研究所、「富岳」を使ってがんの遺伝子ネットワーク分析を1日で完了

2020年11月10日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

東京医科歯科大学と富士通研究所は2020年11月10日、2万個の遺伝子データ解析から上皮性がん細胞における遺伝子間の影響関係を表すネットワークを抽出し、さらにがんの浸潤や転移との関連を予測できるようになった、と発表した。これらの計算を、スーパーコンピュータ「富岳」を使って1日以内で完了させることに成功した。

 東京医科歯科大学と富士通研究所は2020年5月から、がんの治療に関する新たな知見を得るため、スーパーコンピュータ「富岳」の成果創出を推進するプログラムに参加している。がん細胞やがんに関係する遺伝子などの間のメカニズムを、AIと富岳を用いて解析するのが狙いである。

 研究では、個々の細胞や、約1000カ所にわたるマイクロメートル単位で生体採取した細胞のゲノムシーケンスデータを解析する。また、富士通研究所が開発した説明可能なAI(Explainable AI)「Deep Tensor」を用いて、遺伝子間の影響関係を表すネットワークなどを解析する。

 これにより、正常な細胞組織からどのように遺伝子変異クローンが生じるのか、遺伝子変異とその組み合わせがどのように細胞の形状を決定するのか、ゲノムの構造異常が発がんにどう関わるのかを解明する。

 今回の研究の成果として、2万個の遺伝子データ解析から上皮性がん細胞における遺伝子間の影響関係を表すネットワークを抽出できるようになった。さらに、AI技術のDeep Tensorを用いてがんの浸潤や転移との関連を予測し、その予測根拠を提示することができるようになった。これらの計算を、富岳を使って1日以内で完了させることに成功した。

 従来、2万個の遺伝子間の影響関係を表すネットワークの推定の計算は、大学などで利用可能なスパコンを独占的に用いても数カ月を要し、かつ独占的に用いること自体が現実的ではないため、実質的に不可能だったという。今回、遺伝子データの加工プロセスを富岳の高速処理に対応させ、さらに、高いメモリー性能を引き出す富士通研究所のソフトウェア高速化技術を適用することで、Deep Tensorの処理速度を向上させた。

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