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[ユーザー事例]

三井住友銀行、次世代勘定系システムの構築に着手、2025年度に移行を完了

メインフレームにオープン系を組み合わせて商品開発を迅速化

2020年11月11日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)

三井住友銀行は2020年11月11日、次世代勘定系システムの構築に着手すると発表した。メインフレームとオープン系システムを組み合わせたアーキテクチャを採用し、サービス開発の迅速性を兼ね備えた勘定系システムの実現を目指す。総投資額は約500億円(約2万人月)で、構築作業は2021年度から順次実施し、2025年度に移行を完了する予定である。

 三井住友銀行は、2021年度に次世代勘定系システムの構築に着手し、2025年度に移行を完了させる。次世代勘定系システムでは、メインフレームとオープン系システムを組み合わせたアーキテクチャを採用。サービス開発の迅速性を兼ね備えた勘定系システムを実現する。総投資額は約500億円(約2万人月)。

 三井住友銀行が構築する次世代勘定系システムのポイントは3つある(図1)。

(1)勘定系システム本体とは別に、オープン系のシステム基盤やWeb APIを構築して勘定系データを活用したサービスを開発しやすくすること
(2)金融オンラインサービスの完全無停止化などサービスレベルの向上と業務プロセスの変革
(3)次世代メインフレームによる安定性と性能の向上

図1:次世代勘定系システムのイメージ(出典:三井住友銀行、日本総合研究所、日本総研情報サービス)図1:次世代勘定系システムのイメージ(出典:三井住友銀行、日本総合研究所、日本総研情報サービス)
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オープン系のシステム基盤やWeb APIを構築

 次世代勘定系システムでは、オープン系のシステム基盤を、勘定系システムの一部として構築する。この上に、階層型形式の勘定系元帳の全量を、一般的な形式であるRDB(リレーショナルデータベース)形式に変換してコピーする。

 オープン系のシステム基盤では、コンテナ技術などクラウドネイティブな技術要素を取り入れる。これにより、勘定系元帳の複製データを活用して新しい商品やサービスを迅速に開発できる共通機能を提供する。

 勘定系データの利活用を容易にするための勘定系APIも整備する。Web API(REST API)を介して勘定系データを利用できるようにする。内部システムとの連携だけでなく、異業種を含めたパートナーとの協業や、新たなプラットフォーマーとしてのビジネス展開を進めていくための基盤を構築する。

金融サービスのサービスレベルを向上させる

 次世代勘定系システムでは、週末のシステムメンテナンスのためのサービス停止を撤廃し、オンラインサービスを完全無停止化する。さらに、グローバル決済の取扱時間を拡大するなど、サービス機能を向上させる。

 国や自治体との連携による住所変更手続の簡素化などを見据えて、SMBCグループ一体での包括的な顧客管理の実現など、顧客の利便性向上と行内業務プロセスの変革に取り組む。

次世代メインフレームによる安定性と性能の向上

 元帳を管理する勘定系システム本体は、NECの次世代メインフレーム「ACOS」シリーズで構築する。これにより、安定性や効率性を高める狙いがある。NECによると、次世代ACOSでは、性能、連続稼働性、セキュリティ、オープンシステムとの連携、省電力化/省スペース化などを図ったとしている。性能が向上したことで、勘定系システムを構成するメインフレームの台数を大幅に削減したとしている。

●Next:三井住友銀行の勘定系システムの変遷

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