デジタル技術を活用する企業とそうでない企業の格差がコロナ禍の中で拡大している――KPMGコンサルティングは2020年12月10日、こんな調査結果を発表した。同社がHarvey Nashと共同で毎年実施する「HARVEY NASH 2020年度CIO調査」であり、今回はコロナ前と渦中の2回、調査している。デジタル技術を積極的に取り入れている企業はコロナ禍でも手を緩めておらず、そうでない企業との格差=デジタルデバイドが広がっているという。
新型コロナ対応で4分の3の企業がIT投資を追加
今回の調査はCOVID-19の感染拡大が始まる前の2019年12月末~2020年3月に2719人、感染拡大後の2020年5月~8月末に1428人実施した。回答者は世界83カ国のCIOで、2回目の調査ではパンデミック関連の質問を追加した。詳細は「HARVEY NASH/KPMG 2020年度CIO調査」に掲載している。
KPMGの発表によると、新型コロナ前の調査では「IT投資の予算拡大を予想している」とする回答者は51%だったが、コロナ拡大後は43%に減少した。これだけを見ると投資にブレーキをかける企業が増加した形だが、実際には回答者の4分の3に相当する76%がコロナ対応などに追加の投資を行っている。この追加投資について、デジタル技術を活用するデジタル先進企業(デジタルリーダー:回答者の30%)とその他の企業を比較すると、デジタル先進企業の方が大きな追加投資を実施する傾向が鮮明になった(図1)。
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KPMGの分析では、リモートワークの拡大などとともにサイバー犯罪が世界的に増加していることから、追加投資の一定部分はセキュリティ対策への投資と見られる。しかしデジタル先進企業には別の狙いがあるという。それを示したのが図2。デジタル先進企業、その他の企業ともに大きな傾向は似ているが、数字には大きな差がある。次世代クラウドサービスなどクラウド分野への投資が目立つだけでなく、AI/機械学習にも、2桁台の回答者が「投資している」と回答している。
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●Next:企業におけるデジタル格差が広がる要因とは?
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