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[技術解説]

APIを駆使して“医師と患者をつなぐ”プラットフォームを実現─Medical Note

Ruby開発最前線─Ruby bizグランプリ2020大賞サービス(1)

2021年3月25日(木)Ruby bizグランプリ実行委員会

日本発のオープンソースのプログラミング言語「Ruby」と、その開発フレームワーク「Ruby on Rails」。これらを用いて開発されたアプリケーションやサービスは数多あるが、その中から、特にすぐれたものを表彰するのが年次アワードプログラム「Ruby bizグランプリ」だ。本稿では同グランプリ2020の大賞に選ばれた2つのサービスのうち、「Medical Note」(開発:メディカルノート)を紹介する。

Rubyのすぐれたビジネス事例を表彰するアワード

 Rubyは、生産性を高めるフレームワークRuby on Railsと共に、世界の多くの開発現場で使われているオープンソースのプログラミング言語である。その普及を促進するために2015年に始まったのが「Ruby bizグランプリ」という年次アワードプログラムだ。Rubyの開発者まつもとゆきひろ氏の活動拠点である島根県が中心になって組織したRuby bizグランプリ実行委員会が主催し、グランプリの審査委員長をまつもと氏自身が務めている。

 アワード名のとおり、Rubyを使って開発されたビジネス用途のシステムやサービスの中から、新規性、独創性、市場性、将来性に富み、今後継続的に発展が期待できる事例を表彰する。前回のRuby bizグランプリ2019では、料理レシピサービスのクックパッドが開発した生鮮ECサービス「クックパッドマート」(関連記事アプリで注文、新鮮な食材がその日に届く─生鮮ECの新しいかたち「クックパッドマート」)と、GMOペパボが開発したレンタルサーバー「ロリポップ!マネージドクラウド」(関連記事レンタルサーバーの弱点を解決─mrubyで実現したクラウドライクな「ロリポップ!マネージドクラウド」)が大賞を受賞している。

 24事例がエントリーしたRuby bizグランプリ2020では、結果発表が2020年12月に行われ、大賞2、特別賞3、Vertical Solution賞4の合計9つのサービス/企業が受賞した。本稿では、大賞を受賞した2つのサービスを取り上げて紹介していく。今回はメディカルノートが開発・運営する医療・ヘルスケアプラットフォーム「Medical Note」である。


Ruby bizグランプリ2020大賞
Medical Note  https://medicalnote.jp/
開発概要:医療・ヘルスケアプラットフォーム
開発企業:メディカルノート
Rubyを採用した理由:
・フレームワーク/ライブラリおよびこれらに関する情報が豊富
・少ない記述量で要求を実現できる高い生産性
Ruby採用効果:
・ライブラリのエコシステムによる短期間でのリリース
・プロジェクトのキャッチアップの容易さ

「医師と患者をつなぐ」医療情報メディア

 Ruby bizグランプリ2020で大賞を受賞した「Medical Note」は、メディカルノート(本社:東京都渋谷区)が開発・運営する医療・ヘルスケアプラットフォームである。同社は「医師と患者をつなぐ」をコンセプトに、2014年の設立時より医療情報メディアとしてMedical Noteを運営。疾患・症状に関する情報、医療機関情報、オンライン医療相談などさまざまな医療情報コンテンツを発信している。

写真1:メディカルノート CTOの横尾雅博氏

 Medical Noteの強みは、多くの医療機関や医師をはじめとする医療従事者と提携しているところにある。全国で1100以上の医療機関とのネットワークを有し、学会などとも連携している。さまざまな疾患について、その疾患について一定の知名度がある医師や評価されている病院に勤務している有名な医師、医療従事者などのKOL(Key Opinion Leader)とのネットワークを持っている。

 このネットワークによって、メディカルノートは最新の症例や治療例、エビデンスや臨床経験に基づいた医療情報の提供が可能だ。病気の症状や治療法の詳しい情報だけでなく、全国の病院や、病院に勤務している医師のプロフィールなどを閲覧することもできる。

図1:Medical Noteのインタフェース(出典:メディカルノート)

 メディカルノート CTOの横尾雅博氏(写真1)によると、Medical Noteは医療情報の提供だけに価値をおいているのではなく、信頼できる情報を提供し、その情報を閲覧した人が、例えば、病院に行ったほうがよいと判断して、適切な病院や医師を選ぶことができたり、生活改善などのアクションに繋げたりできるようにすることを重視しているという。

 そうした方針は、例えば「Medical Note 医療相談」という、医師にテキストベースで相談できるサービスに現れている。このサービスはオンライン診療とは異なり、自身の症状について受診すべきか迷っていたり、日常生活で困っていることなどを相談し、現状の不安を解消したり、次のアクションに繋げるきっかけとすることを目的としている。

 メディカルノートは上述の医療相談サービスを拡充するにあたり、プライバシーマークやISMS認証の取得など情報セキュリティ面を強化している。医療相談サービスでは、相談者の病歴など配慮が必要な個人情報も含まれる可能性があり、信頼性の高いサービスの提供に不可欠な課題だった。

 併せて同社は、情報セキュリティの専門家も採用。専門家と共にサービスのガイドラインを策定したり、日々の運用についても最大限の配慮を行っている。

●Next:Rubyの特性をどう生かしたか? Medical Noteの開発体制とこだわり

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