SCSKは2021年3月29日、AIモデル構築サービスで利用する自社開発のツールキット「SCSK Neural Network toolkit」(SNN)の新版「SNNバージョン2.4」を発表した。同年4月12日から開始する。目視検査において正常データの学習のみで異常個所を検知できるようにしたほか、自然言語解析モデルを追加した。AIモデル構築サービスの販売目標として、年間導入件数80件を掲げる。
SCSKは、AIモデルを構築するSIサービスを2018年4月から提供している。AIモデル構築サービスの提供にあたっては、SCSKが自社で開発したAI開発用のツールキット「SCSK Neural Network toolkit」(SNN)を利用している(図1)。今回、この開発ツールキット(SNN)をバージョンアップした。これにより、これまでよりも高度なAIモデルを構築して提供できるようになった。
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開発ツールキット(SNN)新版の主なポイントは5つある。
(1)目視検査モデルを強化した。不良品目視検査の案件を通じて蓄積したノウハウを基に、目視検査モデルを強化した。正常データの学習だけで異常個所を可視化できる。発生頻度が低く集めにくい異常データの収集、およびアノテーション作業が不要になった。
(2)学習データの品質を事前に分析する機能を搭載した。学習前に学習データの量と質を把握できるので、精度が不足してデータの準備からやり直すといった作業が要らなくなる。モデル作成のサイクルを短縮できる。
(3)IoTエッジデバイス上で高速に動作する軽量モデルを用意した。エッジデバイス上で30fps以上の推論処理を実現できるとしている。軽量であるため、開発したモデルを各種のデバイスに配信できるとしている。
(4)説明可能なAI技術を搭載した。AIによる判断の根拠を可視化する。これにより例えば、AIが画像のどの部分からどのように分類したかを理解できる。これにより、AIに対する不安を解決する。
(5)自然言語解析モデル搭載した。既存の画像解析モデルとセンサーデータ解析モデルに次ぐ第3のモデルとなる。文章から人名、地名、組織名などの固有表現を抽出できるようになった。文脈を考慮できる言語モデル「BERT」を使っているため、従来手法(辞書やルールベース)では難しい単語も抽出できる。用途として、コールセンターの応対記録から顧客の不満やニーズを抽出できる。