データは極めて重要な経営リソースであり、その確実で巧みなハンドリングが競争力を左右することに異論を挟む余地はない。その文脈で、ITインフラの中でもとりわけ要になってくるのがストレージである。障害を回避するために、あるいは、健全な状態を維持するために、最前線ではどのような動きがあるのか。先駆的なプロダクトとサービスを市場展開しているPure Storageの日本法人であるピュア・ストレージ・ジャパンと、その保守パートナー(ASP)であるユニアデックスのキーパーソンに話を聞いた。
Pure Storage(ピュア・ストレージ)のストレージ製品はオールフラッシュによるハイパフォーマンスに加え、業界トップクラスの可用性(99.9999%)を実績値として実現。製品単体の品質を追求し、近年では86.6%という高い顧客満足度を誇る。そして現在、さらなる安定稼働を求めるエンタープライズのニーズに応えるべく、ピュア・ストレージが注力しているのが「Pure1」と呼ぶクラウドベースのストレージ管理プラットフォームだ。
様々なシステムに対して一般的に提供されている保守サポートは「リアクティブな対応」を基本としている。対象とするシステムに何らかの障害が発生した際にベンダーに連絡すると、契約内容に基づいた修理やパーツの交換、復旧作業などが行われる。ただし、すべての対処をベンダーに一任できるわけではなく、ストレージ製品であればアレイのログを収集してベンダーに送付するなど、ユーザー側にも多くの作業負担が発生することになる。こうした保守サポートのあり方を抜本的に変えていくのがPure1の位置付けである。
自律型ストレージの実現を目指した「Pure1」とは
第一歩としてPure1は、サポートをリアクティブ保守から「プロアクティブ保守」へと進化させる。ピュア・ストレージ・ジャパンの岩本知博氏(SE部 プリンシパル システムズ エンジニア)は、次のように説明する。「Pure1が24時間365日体制でお客様のアレイを監視しており、障害発生時にはPure1からお客様に連絡します。アレイのログは自動的に取得されPure1に送付されるため、お客様側での面倒な作業やりとりは一切発生しません」。
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もっとも、こうしたリモート監視をベースとする保守サポートは他のベンダーにも見られるようになった。Pure1で本当に注目すべきはその先にあり、プロアクティブ保守をさらに進化させた「プレディクティブ保守」を提供しているのである。「Pure1は障害発生時だけでなく全アレイのログを30秒間隔で収集するほか、ダンプレベルのコアログも1時間間隔で収集し、クラウドに蓄積しています。これらのログのビッグデータ解析を毎時で実行し、障害が起こる前に予兆を検知した時点でお客様および保守パートナーに連絡するとともにワークアラウンドを提示します。また、今後の拡張計画とその影響をPure1上でシミュレーションすることも可能です」と岩本氏は語る。
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こうした自律型ストレージの実現を目指したPure1を、ピュア・ストレージのストレージ製品では標準機能として無料で利用できるのだ。Pure1の魅力、つまりはユーザーにとっての価値はそれだけにとどまらない。その詳細とは──。
専任エンジニアが困りごとの解決に尽⼒
さらにピュア・ストレージは、Pure1の上位に位置する有料サポートとして「パーソナライズド保守」を提供している。ビジネスクリティカルなイベントの前にアレイのヘルスチェックを実施し、問題があればイベント前までに解決を図る。さらにイベント期間中に問題が発生した場合、最も高い緊急度で問題を早期解決するというものだ。
それにしてもストレージの専業ベンダーであるピュア・ストレージが、なぜここまで保守サポートにこだわるのだろうか。安部諒氏(プロフェッショナルサービス部 サービス アカウント マネージャー)が、その理由として挙げるのが「ビジネスクリティカルなITインフラ運用に潜むリスクを徹底的に排除するため」である。実際、この1~2年を振り返っても、⾃治体向けIaaSや株式売買といった重要システムでストレージに起因とする重大なトラブルが発生し、社会に多大な影響を及ぼした。
「本来、これらのシステムは巨額のコストをかけて堅牢性を追求し、あらゆる障害に耐えられるように作られているはずです。それにもかかわらずトラブルを起こした原因は、ストレージファームウェアの不具合への未対処であったり、障害時の自動切り替えに必要な設定に不備があったりといった運用面にありました。運用のプロフェッショナルがしっかりサポートしていれば、トラブルは防げたかもしれません」と安部氏は語り、「堅牢なシステムを構築することは重要ですが、安定稼働を実現する運⽤もそれと同様、あるいはそれ以上に重要です」と強調する。
この考えを体現したのがパーソナライズド保守であり、顧客ごとにアサインされた専任エンジニアであるSAM(サービスアカウントマネージャー)が、ピュア・ストレージ製品の導入からデータインフラのモダナイズまで、顧客の要望や困りごとの解決に尽⼒する。特に運用に関して、定例会の実施や稼働状況のとりまとめ、不具合情報の提供、各種困りごと対応など全般にわたってSAMがリーダーシップを発揮。障害やトラブルの未然防⽌、早期解決、原因究明のための強⼒な⽀援を行う。
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保守パートナー(ASP)が語るPure1の意義とメリット
実際、Pure1を中心としたサポートは、国内においてどのような形で実施されているのだろうか。ピュア・ストレージの保守パートナー(ASP)であるユニアデックスに、その最前線の取り組みを聞いてみた。ユニアデックスの神尾亮氏(カスタマーリレーションセンター サーバー&ストレージ部 二課 課長)は、「ピュア・ストレージ・ジャパンと共同し、ピュア・ストレージ製品を国内で販売するにあたっての技術的な評価・検証からお客様への導入支援、障害対応まで、全般的なサポートにあたっています。そこでの核となっているのはやはりPure1です」と語る。
同社の比嘉建太氏(カスタマーリレーションセンター フィールドサポート二部 一課)が、まず保守の観点からPure1のメリットとして挙げるのは次の3点だ。
1点目は、先にも述べたプレディクティブ保守の実現である。「実際にお客様のストレージ環境でコントローラに問題が顕在化する前に予兆を検知し、対処したケースがありました。障害が起こってからあわてて対処するのではなく、落ち着いて計画的に保守作業を行えたことは、お客様と保守パートナーの双方にとって大きなメリットです」(比嘉氏)。
2点目は、自動的なログ収集。ユーザー側での作業負担を軽減するとともに、ストレージに起こっている状況をロスタイムなく把握できる意義も大きい。そして3点目は、リモートアシストの機能である。ログ解析だけでは障害の原因を特定できない場合、保守パートナーまたはピュア・ストレージのエンジニアがリモートから顧客の機器にログインできるというものだ。「ストレージOSのパッチ適用やバージョンアップが必要となった際も現地に駆け付ける必要はなく、リモートですべての作業を完結することが可能なので、より迅速な保守を実現できます」(比嘉氏)。
続いて森本貴宏氏(カスタマーリレーションセンター サーバー&ストレージ部 二課)が運用面におけるPure1のメリットとして言及するのが、アレイの使用傾向の将来予測を行うForecast機能である。「例えば今のままのペースでデータが増え続けた場合、いつ頃に容量が逼迫するのかを可視化し、根拠をもってドライブの増設などをお客様に提案することが可能となります」と森本氏は語る。
さらに、ピュア・ストレージの最大の特長である「Evergreen Storage」と呼ばれるサブスクリプションプログラムとPure1との組み合わせにも要注目だ。Evergreen Storageとは、ピュア・ストレージ製品に対して永年保守モデルを提供するもので、契約期間を通した一定額の保守料金の範囲内で定期的にコントローラを交換し、ストレージ環境をリフレッシュすることができる。「コントローラを交換、あるいは上位モデルにアップグレードすることでパフォーマンスがどれくらい向上するのか、シミュレーション結果を可視化して提示することで、お客様の納得を得ながらストレージの老朽化・陳腐化とは無縁の高信頼を維持し続けることができます」(森本氏)。
ピュア・ストレージによる、こうした一連の取り組みは、ストレージ運用の概念そのものをガラリと変えていくことになるだろう。デジタル時代の経営の根幹を支えるのがIT基盤であり、とりわけデータ資産と深く関わるストレージが果たす役割は極めて大きい。そのモダナイズとイノベーションに向けて、ピュア・ストレージはこれからも不断のチャレンジを続けていく。
●お問い合わせ先
ユニアデックス株式会社
URL:https://www.uniadex.co.jp/
住所:〒135-8560 東京都江東区豊洲1-1-1
電話:03-5546-4900(大代表)
ピュア・ストレージ・ジャパン株式会社
URL:https://www.purestorage.com/jp/
住所:〒100-0014 東京都千代田区永田町2丁目10-3 東急キャピトルタワー12階
電話:03-4563-7443