[調査・レポート]
日本のデジタル活用スキルの自己評価は9カ国中最下位、在宅勤務で生産性が低下─ガートナー
2021年5月11日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)
ガートナー ジャパンは2021年5月10日、企業の従業員がデジタル技術をどのくらい活用しているかを調査した「Gartner 2021 Digital Worker Experience Survey」の結果を発表した。日本の従業員は、他国と比べてデジタル活用スキルの自己評価が最も低く、ワークプレース系アプリケーションの活用率も最低レベルだった。
従業員がデジタル技術をどのくらい活用しているか──。ガートナー ジャパンがグローバル調査の結果を発表した。2020年11月から2020年12月にかけて、米国、欧州(英国、ドイツ、フランス)、アジア太平洋地域(日本、中国、インド、シンガポール、オーストラリア)の9カ国で、従業員数100人以上の組織に所属する1万80人の正社員を対象に実施した。
調査の結果、日本の従業員は、他国と比べてデジタル活用スキルの自己評価が最も低く、ワークプレース系アプリケーションの活用率も最低レベルだった。在宅勤務における個人の生産性に関する自己評価も、日本が最も低かった。
日本はデジタル活用スキルの自己評価が最低
調査ではまず、デジタル技術をビジネスに活用するスキルについて、自己評価を聞いた(図1)。日本は「素人」(10%)または「中程度」(52%)と回答した従業員が6割以上(62%)となり、調査した9カ国中で最低だった。2017年4月に実施した調査でも、自身のレベルを「素人」または「中程度」と低く評価した従業員の割合は日本が最低で58%だった。
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世界主要国の従業員は、約5人に1人(18%)がデジタル技術の「エキスパート」を自認しており、従業員の半数以上は自身がデジタル技術に習熟していると考えている。一方、日本の従業員で「エキスパート」を自認している割合はわずか4%で、他国と比べて自己評価が非常に低い。自己評価が最も高いインド(37%)と比べると大きな乖離がある。
日本はワークプレース系アプリの利用率も最低レベル
仕事で利用するワークプレース系アプリケーションの活用率も調べた(図2)。ワークレプレース系アプリケーションを4つのカテゴリに分類し、それぞれについて毎日利用している従業員の割合を調べた。日本は、他の国や地域と比べて、4カテゴリのうち3カテゴリで最低だった。
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ワークプレース系アプリケーションの4つのカテゴリは、「コラボレーション」(Zoom、Teams、Slackなど)、「クラウドストレージ」(Dropbox、Box、Google Driveなど)、「トレーニング/ラーニング」(CourseLabなどのEラーニングツールなど)、「リアルタイムモバイルメッセージング」(WeChat、Slack、LINEなど)、である。
日本を除くアジア太平洋地域(APAC)の従業員は、リモートワークなどの働き方を支援するアプリケーションを、各種の状況に応じて活用している。一方、日本の従業員は、これらのアプリケーションの活用率が少ない。「まったく活用していない」と回答した従業員の割合も最も高かったという。
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