日本IBMは2021年6月7日、量子コンピュータ技術を研究・開発するハードウェアテストセンター「The University of Tokyo - IBM Quantum Hardware Test Center」を、東京大学の浅野キャンパスに開設したと発表した。同センター内に、量子コンピュータのコンポーネントの試験用に構築した、より大規模な量子コンピュータの動作環境を再現するシステムを設置した。日本IBMでは、量子コンピュータのハードウェアに関する要素技術から量子アプリケーションまで、より広い技術開発が加速することを期待している。
日本IBMは、量子コンピュータ技術を研究・開発するハードウェアテストセンター「The University of Tokyo - IBM Quantum Hardware Test Center」を、東京大学浅野キャンパスに開設した(写真1)。日本の参加企業や団体は、同テストセンターを通じて、量子システムのテストベッドを利用できる。
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同センターでは、将来量子コンピュータを活用していく上で不可欠なハードウェア技術を研究開発する。例えば、極低温マイクロ波コンポーネントとサブシステムおよび制御エレクトロニクス、超伝導量子ビットを安定的に動作させるために必要な材料、高品質な信号伝送に必要な高周波部品や配線、などである。極低温を実現するために必要な冷凍機やコンプレッサ、これらの制御技術も研究する。
なお、同テストセンターの開設は、2019年12月に発表した量子コンピュータに関するパートナーシップ「Japan-IBM Quantum Partnership」に基づくものであり、同パートナーシップを構成する3つの主要部分の1つである。パートナーシップの他の部分には、量子理論に関する日本IBMと東京大学の共同研究、ソフトウェア開発、および教育が含まれる。量子コンピュータの研究・開発を進めるための日本の産学連携プログラムと位置付けている。
日本IBMは、広範なパートナーシップの一環として、ゲート型の商用量子コンピューティングシステム「IBM Quantum System One」を神奈川県川崎市に設置することを表明している(関連記事:東京大学と日本IBM、量子コンピュータ「IBM Q」をかわさき新産業創造センターに設置へ)