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SaaSの俊敏性とCPaaSの柔軟性でコンタクトセンターにおける“個客”対応を実現

2021年8月13日(金)

コンタクトセンターの担う役割が、顧客への“サービス”から、体験価値創出を標榜した“ケア”へと移りつつある。あるべき姿は企業ごとに千差万別であり、世の中の変化にも影響を受けて頻繁に見直しを迫られる。そのため、“出来合い”として提供されるソリューションでは細かい要件に応えきれない。そこで注目を集めているのが、米Twilio社が提供するコンタクトセンター向けソリューション「Twilio Flex」だ。その実体や特長とは──。

長きにわたって、顧客からの質問や相談の窓口として捉えられてきたコンタクトセンターが今、その姿を大きく変えつつある。背景にあるのが、「市場の成熟」と「技術の革新」だ。

商品購入後のアフターフォローなどを担うことで、顧客満足度の向上はもちろんのこと、業務改善につながる多様なVoC(Voice of Customer:顧客の声/見方)を収集できるといった利点を実感することによって、コンタクトセンターは企業に無くてはならない部門の1つと捉えられるまでに徐々に重要度を上げてきた。

顧客エンゲージのための首尾一貫したケアを

ただし、かねてから課題も指摘されてきた。市場の成熟化により「商品そのものの良さ」だけで安定成長が望めなくなったのは多くが知るところ。「顧客体験」を重視する傾向が強まる中にあって、電話での応対を中心に据えたコンタクトセンターでは、そのカバー範囲が顧客が体験するであろう“ジャーニー全体”の一部でしかないのでは?といった問題意識はその典型例だ。電話だけではVoCを収集しきれないとの危機感は日増しに募っていたのである。

そうした状況が、現在進行形で大きく変わろうとしている。テクノロジーの進化と普及によってメールやSMS、チャットといった多彩なコミュニケーションチャネルが世に広がり、顧客との様々な接点を企業活動の中に取り込みやすくなったことが背景にある。しかもそれは、顧客からの問い合わせ対応や問題解決といった従来ながらの領域にとどまらず、顧客への積極的な働きかけを伴う良好な関係の形成と維持、すなわち顧客エンゲージメントを標榜して、一貫性をもって取り組むことを可能としている。

図1 コンタクトセンターがカバーすべき領域が拡がっている
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Twilio Japanの正木寛人氏(プロダクトマーケティング)は、「コンタクトセンターへの新技術の取り込みがいち早く進んだ米国では、リード獲得や年次契約更新など、マーケティングやオペレーションといった領域をも積極的に担うようになりました。これは即ち、コンタクトセンターへの期待が単なる顧客への“サービス”から、首尾一貫した“ケア”へと移りつつあるということ。別の言い方をするとコストセンターからプロフィットセンターへの転換を求められているということです。その米国に追随する形で、国内でも変化が起こり始めました」と説明する。

“既製品”による機能ギャップが変革の足枷に

もっとも、今後を見据えて顧客エンゲージメントの基盤を整えていくにあたっては、すんなりとはいかないハードルが待ち構えると正木氏は指摘し、こう続ける。「コンタクトセンター向けを謳うソリューションの多くは、オンプレミス導入型であれクラウドサービスであれ“既製品”や“完成品”の色彩が強く、細かいところに融通が利かずに歯がゆい思いをすることでしょう」。

もちろん、コンタクトセンター向けソリューションの進化が停滞しているという話ではない。テクノロジートレンドやユーザーニーズに照らしながら機能強化が図られているし、マネージドサービスやSaaSなど新たな提供形態も続々と登場している。しかし、顧客エンゲージメントのあり方は一律ではなく企業によって異なる。しかも、理想とする姿やそこに求められる機能は固定的なものではなく、実に移ろいやすい。すなわち、「出来合い」ではどうしてもフィットしない部分が露見して、時間やコストをかけてカスタマイズしたり、業務上の目的やフローをシステムに無理やり合わせたりといったことを余儀なくされるのだ。

ここで求められるのが新機軸となるソリューション。誤解を恐れずに言えば、出来合いではない「半製品」的なアプローチである。コンタクトセンターを運営するにあたって必要となる汎用的な大半の機能は標準で提供しつつ、その基盤の上で、ユーザーごとに必要となる、あるいは時代変化に合わせて必要となる機能を自由かつ迅速に実装できるようにしたものだ。もう一歩踏み込んで、次代のコンタクトセンター基盤に求められる要件を挙げるなら、次のような項目が上位に挙がることだろう。

  • 主要サービス(例: お客様問い合わせタスクの配信)をビルディングブロックとしてあらかじめ用意しておき迅速なデプロイを可能に
  • ビルディングブロックとしてのサービスの振る舞い(設定構成)に自由度を持たせ、様々な業務要件に対応
  • 主要サービス+周辺ツールで構成するプラットフォームに柔軟性を持たせて継続的な改善を可能に
  • サービス提供(例:Twilio)側の機能拡張計画(ロードマップ)への依存性を抑えて、ユーザー企業側の自走性を促進

SaaSとCPaaSのよいとこ取りで俊敏性と柔軟性を両立

この文脈で注目を集めているのが、多様なコミュニケーション機能をAPIで提供し、それらの組み上げや自社システムとの連携を通じて、思い描くシステム環境の迅速かつ柔軟な整備を可能としたクラウドサービス「CPaaS(Communications Platform as a Service)」だ。そして、この領域のリーディングカンパニーがTwilioである。同社は2000年代後半からREST APIによる電話の発着信を皮切りに、コンタクトセンター向けの機能開発も推進。2018年にはそれらを包括したソリューション「Twilio Flex」をリリースし、Twilio基盤を利用するオペレーターは現段階で40万に迫る。

正木氏によると、Twilio Flexは「基本的な機能を手っ取り早く利用するSaaS」と「戦略的な機能を効率よくカスタマイズ利用する(C)PaaS」の交差点に位置するサービスと捉えると理解しやすいという。「主要機能をあらかじめ網羅したTwilio Flexは、そのままでも大いに力を発揮します。そのうえで、カスタマイズ機能の追加によって手軽に独自色を付加できることがポイント。細部まで考え抜いた顧客ジャーニーを具現化するために、自社ならではの価値をシステムへ容易に組み込めるのです」(正木氏)。

図2 俊敏性と柔軟性を両立するTwilio Flexの位置づけ
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その一端はオペレーター向け画面で垣間見ることができる。問い合わせ対応では、顧客の困りごとなどをどこまでありありとイメージできるかが対応の質を左右する。役立つ情報は、航空会社であれば空席情報、物販であれば商品情報など、企業ごとに千差万別だ。ここでTwilio Flexであれば、APIにより各種DBと連携させたうえで、必要なデータを画面に集約しつつ、言語やレイアウトなども含めて自在に設定できる。「例えば航空会社であれば、空席情報をグラフィカルな座席表として画面の好みのエリアに配置させるといった設計も可能です。当社のライブラリにはユースケースに応じた画面ウィジェット例やサンプルコードが公開されており、それらを参考に若干量のコードを記述するだけで、自社の独自画面を簡単に用意できます」(正木氏)。

図3 航空会社のオペレータ向け画面例
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図4 Twilio Flexがユーザーにもたらす価値
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システムの利便性と運用性を格段に高める機能群

SaaSとしての機能を見ても高い水準にある。まず、デジタルチャネル対応の点では、電話はもちろん、チャットやSMSのほか、Facebook Messengerなどの主要な顧客接点チャネルに標準対応。また、Google CloudやLINEのAIボットとの連携により、自然言語解析による無人対応などもすでに実現済みだ。対応の質の向上に向け、あらゆるチャネル経由の問い合わせに対して、スキルを登録したデータベースと突き合わせて最適なオペレーターを決定して割り振る高度な問い合わせタスク配信機能「TaskRouter」も標準で用意されている。

図5 Twilio Flex プラットフォームの概要
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コンタクトセンター立ち上げ時の厄介事の1つが、取得に時間を要しがちな電話番号の準備だが、この点でも、Twilio Flexではコミュニケーション基盤の提供者たる特性を生かして電話番号まで一括提供。システムの立ち上げ作業も極めて簡略化されており、例えば、管理者権限でのログインから、Flexインスタンスの自動作成/初期化、電話番号のインスタンスへの自動紐づけ、コミュニケーションツールでの実稼働検証までに要す時間はわずか数分だ。センターの迅速な配備展開におけるメリットは決して小さくない。

Twilio Flexにより国内外ですでに多くの企業が成果を上げている。日本を代表する刃物メーカーである貝印もその一社だ。同社のコンタクトセンターはマーケティング本部に属しており、そこには顧客の声を製品の開発や改善に積極的に活かそうとの想いが通底している。電話やメールのみならずSMSなど他の顧客接点チャネルにも対応できること、さらに同社が注力する海外展開にも対応できること。こうした要件に最もフィットするものとして同社が採択したのがTwilio Flexだ。コロナ禍においても在宅勤務によって、通常時と何ら変わることなく顧客対応ができたことに加え、新たに法人顧客をフォローする際にも前出のTaskRouter機能を活用してオペレータのスキルに最適化した体制を素早く整備できたといった効果を得ている。

先進技術を取り込み新たな価値創出を支援

大規模利用では、カナダの大手ECプラットフォーム提供者であるShopifyの取り組みが挙げられる。同社はパーソナライズ化とデータ活用を通じた加盟店とのリレーション強化を狙いに2018年、サービス提供開始直後のTwilio Flexによる既存のオンプレミスシステムのリプレースに着手。当初は8カ月かかると見込まれた開発を4カ月で完了させ、以来、施策のアジャイルでの検証を通じて、コンタクトセンター業務の改善が加速。センターの規模も2000席超まで拡大しているという。

もっとも、コンタクトセンターの高度化に向けた技術は今後も進化し続ける。とりわけ、顧客対応レベルの底上げのための各種分析、AI、システム統合などの技術革新は加速度的に進むだろう。「そうした動きの中で、すべてをTwilioの技術だけで担うのは現実的ではありません」と正木氏。Twilioではアナリティクスや基盤間連携、AIなどの主要領域での有力リーダーとのアライアンス強化に着手しており、動作検証を積極化させている。いわゆるTwilio Flexを軸としたエコシステムを形成することで、市場ニーズに全方位で素早く対応することを標榜している。

「コンタクトセンターにはまだまだ課題が残されています。例えば、生データの活用もその1つ。業務や商品の改善といった基本的なところから、オペレーターの対応状況に基づくモチベーション可視化といった応用編まで、分析技術が貢献できる場所がそこかしこに残されています。改善の余地がある以上、我々が手を緩めることはありません」と正木氏。さらなる高みを目指すTwilio Flexが、日本のコンタクトセンターを新たなステージへと導いていく。


●お問い合わせ先

Twilio Japan合同会社

Web https://www.twilio.com/ja/
メール info_japan@twilio.com

Twilio Flexの詳細について
https://www.twilio.com/ja/flex

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