NTTドコモがAWS(Amazon Web Services)の利用コスト削減に取り組んでいる。あるシステムでは、検証環境のサーバー台数を減らしてコストを60%削減し、商用環境はユーザー数が増加する一方でサーバー台数をサービス開始当初から17%削減している。現在では、システムの9割超が検証環境のサーバーを夜間落としている。2021年9月6日、アマゾン ウェブ サービス ジャパンが開催した説明会に登壇して取り組みの詳細を紹介した。
NTTドコモでは、顧客向けサービスなどの稼働環境として、AWSを含む複数のクラウドサービスを利用している。事業の拡大などに合わせて、AWS上で稼働しているサーバー台数は年々増加している。現在では200を超えるサービスがAWS上で動いている(図1)。
拡大画像表示
クラウドサービスの利用が増えるに伴い、同社では、クラウドの利用にかかるコストも増大し課題になっていた。「クラウドサービスは簡単に利用を始められるので、コストに対する管理や意識づけが弱かった」と同社は取り組み以前のことを振り返る(図2)。
拡大画像表示
そこでNTTドコモでは、「クラウドCoE」と呼ぶ社内活動と、アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)による支援の両輪で、クラウド利用コスト削減の取り組みに着手。「検証環境は夜間自動で停止する」など、コスト削減のためのチェック項目を作成するところから始まった(図3)。
拡大画像表示
AWSジャパンのコスト削減支援プログラムも利用
図4は、NTTドコモが示した、コスト削減のためのチェック項目の例である。
拡大画像表示
取り組みを進めることで、現在ではAWSで稼働しているシステムの9割超が、典型的なコスト削減策を講じているという。例えば、検証環境のサーバーを夜間に停止させ、バッチ処理のためのサーバーも、バッチ処理を行っていない間は停止させている。処理負荷の増減に対してはオートスケーリングを利用している。
加えて、遊休リソースを安価に販売するメニュー「EC2スポットインスタンス」や「Fargate Spot」を開始。現時点で利用数は350台を超えている。
NTTドコモは、取り組みのもう1つの軸として、AWSジャパンの支援プログラムを活用した。2020年にはAWSジャパンとオンラインワークショップを共同開催。その際、AWSのコスト削減手法を直接学ぶとともに、実データを用いてコスト削減の余地を検討したという。
拡大画像表示
ワークショップでは他にも、AWSが用意しているコスト削減手法「Cloud Financial Management」(CFM)や、コストと使用状況の分析/表示ツール「AWS Cost Explorer」の活用の仕方についても学んだという。
一連の取り組みの結果はどうだったか? NTTドコモは、具体的なコスト削減施策とその効果について、5つの例を具体的な数値と共に示した。
●Next:NTTドコモがAWSコスト削減効果を具体的数値で紹介
会員登録(無料)が必要です
- 1
- 2
- 次へ >