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「SAP S/4HANA移行時のダウンタイムをさらに短く」、BLUEFIELDアプローチのSNPが新手法

2021年10月15日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

独Schneider-Neureither & Partner SE(SNP)の日本法人であるSNP Japanは2021年10月14日、自社製品の特徴やロードマップを説明した。同社はSAP ERP 6.0からSAP S/4HANAへのデータ移行ソフトウェア「CrystalBridge」を提供している。2021年7月からは、同様の目的を持つ製品として「OutBoard」(開発元:独SNPが買収した独Datavard)を販売している。これらを併用することで、 S/4HANA移行時のダウンタイム(システム停止時間)をさらに短くできるとしている。

 「流通業のユーザーなどは、ERPのシステムを1時間停止させるだけで何千万円もの損が出る。新システムに移行する際のシステム停止時間を少しでも短くしたいと思っている」。SNP JapanのCTO、横山公一氏は、システム移行時のダウンタイムを短くすることの重要さを力説する。

 独Schneider-Neureither & Partner SE(SNP)の日本法人であるSNP Japanは、SAP ERP 6.0からSAP S/4HANAへの移行を支援するミドルウェア「CrystalBridge」を販売している(関連記事SNP Japan、最短6カ月でSAP S/4HANAに移行する「BLUEFIELD」アプローチを説明)。

 仮に6TBのデータをSAP ERP 6.0からS/4HANAに移行する場合、SAPの標準機能を使うと5日~6日程度の時間がかかるという。この期間がそのまま、システムを利用できないダウンタイム(システム停止時間)になる。一方、CrystalBridgeを使うと、データ移行にかかる時間、すなわちダウンタイムは、12時間から24時間程度の時間で済む。

 ここで、移行対象の元データを6TBよりも少なくできれば、結果としてさらにダウンタイムを減らせられる。12時間から24時間のダウンタイムを、8時間程度に短縮できる。SNP Japanは2021年7月、移行対象の元データを減らせるミドルウェア「OutBoard」の販売を開始した。CrystalBridgeとOutBoardは、いずれもSAPのアドオン機能として動作するソフトウェアである。

 周知のように、SAP ERP 6.0のサポートが2027年に終了する。SAP製ERPを使い続けたいユーザーは、2027年までにS/4HANAに移行する必要がある。移行を後伸ばしにすればするほどデータが大きくなり、移行時のダウンタイムが長くなる。「日本のユーザーのほとんどは2000年前後にSAP ERPを導入し、今までデータを貯めてきた。企業には最長でも過去10年分のデータがあればいいのに、20年分のデータがすでに溜まっている」(横山氏)。

古いデータを“データ冷蔵庫”に格納し移行データを減らす

 2021年7月に販売開始したOutBoardは、SAPデータベースに蓄積した古いデータをデータベースから切り離し、古いデータ専用のデータストアに格納する機能を備える。このためのデータストアとして、S/4HANAに移行しない古いデータを格納する「OutBoard DataFridge」(データ冷蔵庫)と、S/4HANA上で古くなったデータをアーカイブする「OutBoard ERP Archiving」(アーカイブ)の2つを提供する(図1)。

図1:SAP S/4HANAに移行しない古いデータを格納する「OutBoard DataFridge」(データ冷蔵庫)と、SAP S/4HANA上で古くなったデータをアーカイブする「OutBoard ERP Archiving」(アーカイブ)の2つを提供する(出典:SNP Japan)図1:SAP S/4HANAに移行しない古いデータを格納する「OutBoard DataFridge」(データ冷蔵庫)と、SAP S/4HANA上で古くなったデータをアーカイブする「OutBoard ERP Archiving」(アーカイブ)の2つを提供する(出典:SNP Japan)
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 OutBoard DataFridgeは、廃棄を前提としたデータストアである。SAP ERPからS/4HANAにデータを移行するタイミングで作成する。例えば、過去10年分のデータのうち、S/4HANAに移行するデータを直近の1~2年分に抑え、それよりも過去のデータをOutBoard DataFridgeに格納する。移行対象のデータを減らすことによって、移行時のダウンタイムが減る。データは、AWS/Microsoft Azure/Google Cloudなどの任意のクラウドストレージにローデータとして格納する。格納したデータはS/4HANAから分析が行える。

 OutBoard DataFridgeの利用を工夫して、SAPのライセンスやSAP HANAのストレージコストの削減も図ることができる。例えば、新規構築(Greenfield)のアプローチでS/4HANAに移行した場合、古いデータの参照用システムとしてSAP ERPのライセンスを残す必要がある。OutBoard DataFridgeを使うとクラウドストレージに古いデータを置いておくことができ、参照システムが不要になる。

 一方のOutBoard ERP Archivingは、移行先のS/4HANA上で利用するアーカイブ用データストアである。移行先のS/4HANAを運用している最中に古くなったデータを、SAPのアーカイブオブジェクトの仕組みでアーカイブする。OutBoard ERP Archivingのメリットは、アーカイブ済みのデータも含めてデータ分析の対象にできることである。S/4HANAからは、アーカイブしていないデータと同じようにアクセスできる。これに対して、SAPの標準アーカイブの場合、アーカイブしたデータを分析の対象にはできない。

 まとめると、OutBoard DataFridgeを使うことで、S/4HANAに移行するデータ量を削減できる。これにより、システム移行時のダウンタイムが減る。一方、OutBoard ERP Archivingを使うことで、SAP S/4HANA移行後のデータ量の増加を抑えられる。SAP標準のアーカイブ機能と異なり、アーカイブ済みのデータも分析できるほか、安価なクラウドストレージにデータを置いておける。

●Next:独自のBLUEFIELDアプローチでダウンタイムを短縮する仕組み

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SNP Japan / OutBoard / BLUEFIELD / S/4HANA / SAP / SAP2027年問題

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