マルチブックは2022年2月10日、クラウドERPソフトウェア「multibook」の機能を強化し、不正取引を検知可能なデータ可視化機能「マネジメントコックピット」を追加した。国内外の拠点の業績や資金、取引残高、不正取引、オペレーション状況、為替リスクなどをリアルタイムで一覧化する。multibookの価格(税別)は月額6万円から。
multibookは、海外拠点を抱えるグローバル企業に向いた、クラウド型の会計/ERP(統合基幹業務システム)ソフトウェアである。会計、ロジスティクス(在庫管理、販売管理、購買管理)、固定資産、従業員経費精算、などの機能で構成する(関連記事:マルチブック、海外拠点向けクラウドERPを6カ月間無料提供、海外出張を削減可能)。
海外拠点で使うことを想定している。各言語(11言語)と通貨による会計業務や為替の換算が可能。クラウドサービスであり、海外拠点の経営状況や在庫状況をリモートからリアルタイムに把握できるため、海外に出張する機会や不正のリスクが減る。導入も容易で、会計機能だけであれば5人日程度で済むとしている。現地に行くことなく、日本からのリモートワークでマスター設定、データ移行、トレーニングなどの作業を行える。
拡大画像表示
今回、不正取引を検知可能なデータ可視化機能「マネジメントコックピット」を追加した(画面1)。国内外の拠点の業績や資金、取引残高、不正取引、オペレーション状況、為替リスクなどをリアルタイムで一覧化する機能である。「業績管理」「資金管理」「関係会社取引残高」「不正取引検知」「オペレーション状況」、「為替リスクエクスポージャ」の6つの機能を提供する。これら6つの機能で導入先の全拠点の状況を一覧表示する(表1)。
機能強化の背景として同社は、各拠点の財務状況をリアルタイムで把握できていない企業が多いことを挙げる。「海外拠点における不正取引の問題を抱える企業も多い。特に、タイにおいては、進出後に約5割の企業が内部不正を経験しており、約7割の企業が労務・会計・財務トラブルを経験している」という。
データ可視化機能「マネジメントコックピット」は、「業績管理」「資金管理」「関係会社取引残高」「不正取引検知」「オペレーション状況」「為替リスクエクスポージャ」の6つの機能を備える。これら6つの機能すべてで、導入先の全拠点の状況を一覧表示する。
機能 | 概要 |
---|---|
業績管理 | 国内・海外各拠点のPLの12カ月間推移、締め状況をグラフと合わせて表示する。拠点ごとの締め状況を信号機になぞらえて表示するため、拠点ごと、月ごとの締め状況が一目で分かる |
資金管理 | グローバル多拠点の現預金残高の12カ月間推移をグラフと合わせて表示する。各拠点の資金繰りの判断に役立つ |
関係会社取引残高 | 関係会社間の債権債務残高(一致・不一致)を表示する。連結決算のタイミングで手間取ることが多い「関係会社間の債権債務一致確認・調整」を、期中に完了させられるようになり、連結担当者の負担が減る |
不正取引検知 | 基準額以上の現預金支出、基準回数以上の同一取引先との現預金取引などを表示する。決裁権限を越えた取引、承認逃れの請求書分割、キックバックを誘発する可能性のある割増し発注などをリアルタイムに検出する。基準値は各社で設定が可能。検出した取引の詳細は、その場で確認できる |
オペレーション状況 | 未承認、未転記の仮伝票(仮仕訳)の件数を表示する。各拠点、会計伝票の承認、転記業務が滞っていないか、などをリアルタイムに確認することで、決算の妨げとなる各国の遅延を見つけ出せる |
為替リスクエクスポージャ | 各拠点の外貨建(債権債務、現預金など)の残高を一覧で表示する。リアルタイムに外貨ポジションを把握できる |