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新サービスを次々と投入する三越伊勢丹のDXを実現した方法論から導かれる次世代企業のためのシステムプラットフォームのあり方

開発スピード4倍&既存システムの維持コスト半減を実現、ノウハウ活かしiPaaSとして本格展開へ

2022年2月28日(月)

顧客を強く惹きつける新サービスをフットワーク良くリリースする一方で、膨大な既存システム資産を統合整理して時流に沿ったものへとソフトランディングさせていく──。言葉でこそ簡単だが、その実践が並大抵ではないことは、エンタープライズITに関わる人であれば誰しも分かるだろう。それをやりきったのが、三越伊勢丹システム・ソリューションズである。そのノウハウと技術をソリューションサービスとしてパッケージングして外部の企業に展開する新規事業を立ち上げたキーパーソンにお話を聞いた。

デジタルテクノロジーの進化と普及を味方につけて次代に向けた持続的成長の礎を築くことは、どの企業にとっても喫緊のテーマだ。しかし、そこに辿り着く前に「無秩序に散在する既存のレガシーシステム群の整理統合」という難題が立ちはだかる。コストも要員も限りがある中で、デジタルネイティブ/クラウドネイティブな企業へと変貌を遂げるには、どのような現実的ステップを踏めばよいのかに多くの企業が頭を悩ませている。

ここに切り込んで、多くの実践的な知見を蓄えているのが三越伊勢丹システム・ソリューションズ(IMS)だ。百貨店大手、三越伊勢丹の情報システムに関わる業務を担うグループ会社である。IMSは、三越伊勢丹のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援することから得た知見、そして今日まで形づくってきたICT基盤「三越伊勢丹ビジネスプラットフォーム」が、他の企業にも必ずや役立つと確信。グループ外の企業にもクラウドサービスとして提供していく準備を整えている。これまでの経緯や、具体的な方法論とはどのようなものなのだろうか──。

DXの具現化を阻む「現場の悩み」あれこれ

変化が激しく将来が不確実な厳しいビジネス環境の中で、多くの企業がDXを推進しようとしている。しかしながら過去から積み上げてきた膨大なIT資産、いわゆるレガシーシステムが足かせとなり、どうにも前に進めないといった話が漏れ伝わってくる。それは三越伊勢丹も例外ではなかったようだ。IMSで代表取締役社長執行役員を務める箕輪康浩氏は、このように語る。

三越伊勢丹システム・ソリューションズで代表取締役社長執行役員を務める箕輪康浩氏

「三越伊勢丹グループではこれまで、仕入れから店頭のPOS、その他百貨店に関わる一連の業務を処理する基幹システムを基本的にスクラッチで構築してきました。しかし新たな業務要件による追加開発、消費税などの制度対応を積み重ねているうちにシステムはどんどん肥大化し、何か変更を加えようにも機敏に動きにくくなってしまっていたのです」。

外部のSIベンダーへの過度な依存という課題もあったという。「三越伊勢丹グループの情報システム子会社としての役割を担っている弊社が各社の要求をとりまとめ、SIer、ITベンダーへシステム開発依頼をマネージするのですが、ちょっとした改修や追加開発に対しても多大なコストや長い期間を要するのが実情でした。加えてブラックボックス化した既存システムの保守・運用のコストも重い負担となっていたのです」と箕輪氏は振り返る。これではICT基盤の抜本的な構造改革など進めようがない。

コロナ禍の危機感から生まれた成功モデル

そんな三越伊勢丹グループは、どうやってDXに向かうことができたのだろうか。大きなきっかけとなったのがコロナ禍だ。百貨店が売上を伸ばす基本は、より多くの顧客に来店してもらうこと。三越伊勢丹も集客に重点を置いたビジネス戦略を長年にわたり推進してきており、一人ひとりにキメ細かく対応する、いわゆる“おもてなし”に定評があったことは多くが知るところだ。ところが緊急事態宣言の発出に伴う人流抑制で顧客の来店数は激減し、店舗内でも感染防止として密を回避しなければならないなど、以前の強みが活かせない状況に追い込まれた。

「『このままでは我々は終わってしまう』という強い危機感がグループ全体に広まりました。それでも、自分たちが創業から大切にしてきた『まごころと創意工夫』が大事なころは変わりません。その想いをこれからの時代に相応しいデジタルの力で創り上げていくこと、すなわちDXに真正面から取り組んでいくんだという総意が固まりました。逆境だからこそ腹が座ったとも言えるでしょう」と箕輪氏。こうして新しいサービスやビジネスの展開に向け、デザインシンキングなどの手法も取り入れながら具体的な行動を起こし始めたのである。

そうした中から生み出された一つが、2020年11月にサービスを開始した「三越伊勢丹リモートショッピングアプリ(MIRS)」である。チャットとビデオを組み合わせ、売り場の販売員が丹念にリアルタイムで接客するものだ。顧客はECサイトにも掲載されていない商品を含め、店舗にあるすべての商品をリモートで購入できる。要するにネットを通じて、店頭、もしくはそれ以上の豊かなショッピング体験を得られることに注力したのだ。MIRSは顧客から好評を得て、三越伊勢丹のビジネスイノベーションに大きく貢献し、様々なメディアでも取り上げられて話題となっている。

三越伊勢丹リモートショッピングアプリ(MIRS)の利用イメージ

「最小限の機能を約3カ月で実装してスモールスタートし、徐々にサービス広げるというアプローチは、我々に染み付いているウォーターフォール型とは対極的なものでした。それでも、いち早く実務の現場に持ち込んで売上に結び付けなければいけないという使命もありましたし、とにかくやり遂げるんだという想いで関係者一丸となって取り組みました」(箕輪氏)。MIRSやその他アジャイル開発の経験がmode2スキルの習得に繋がり、これまで培ってきたmode1スキルとあわせたバイモーダルスキルが、今後の戦略、取り組みに重要となっているという。

既存システムの運用コスト削減でICT改革の原資を生み出す

とはいえ“本丸”ともいえるレガシーシステムの構造改革、いわゆるモダナイズは容易なことではない。この課題に対してIMSが徹底して取り組んできたのが、ICT基盤の運用コストの削減である。「ただでさえコロナ禍で売上が低迷している中で、新たな予算を要求することはできません。DXを推進するためには既存システムのコストを削減し、それによって浮いたコストを新たなデジタルサービスの開発費に回すしか手はありません」と箕輪氏は語る。

三越伊勢丹システム・ソリューションズでICTプラットフォーム部長を務める唐沢猛氏

例えば、三越伊勢丹のPOSシステムは、年間で最もトランザクションが集中する1月2日の「初売り」の処理負荷に合わせてサイジングがなされていた。裏を返せば、決して使われることのないリソースを残り364日も持ち続けていることとなる。ICTプラットフォーム部長の唐沢猛氏は、「こうしたシステムをオンプレミスからクラウドに移行し、トランザクションに合わせてオンデマンドでリソースを拡縮する形へと変更しました。これまでに全体の3分の2のシステムに対してリソースの最適化・平準化を行い、運用コスト削減を進めてきました」と語る。

加えて同社が現在も進めているのが、類似したシステムの集約である。「店舗とECの間でもカード決済や配送など、共通に使えるシステムは多々あります。これらの類似システムを個別に持つのではなく、1つのサービスに集約した上でクラウドに移行し、相互に利用できる形に持っていく必要があります」と箕輪氏は力説する。上記のような取り組みを重ね、固定費の変動費化や保守要員の最適化、外注費・労務費の削減などを実現してきた結果、「2018年から2021年までの3年間で、既存システムの運用コストを約50%削減することができました」と箕輪氏は語る。

三越伊勢丹ビジネスプラットフォーム(MI-BPF)の基本的なアーキテクチャ
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「おもてなしDX」のノウハウを集大成したビジネスプラットフォーム

既存システムの運用コスト削減によって得られた原資を活用し、IMSが進めているのがストラングラーファサードの手法に則った段階的なシステム移行だ。ストラングラーファサードとは簡単にいえば、既存のアプリケーションと新しいアプリケーションを振り分けるレイヤー(ストラングラーファサード)を設け、さまざまな機能の特定部分を新しいアプリケーションに徐々に置き換えていく手法である。

三越伊勢丹システム・ソリューションズが実践したストラングラーファサードの概要
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「既存システムが夜間バッチでやり取りしているデータを蓄積するとともに、既存システムから切り出したマイクロサービスをAPIで連携させることで、タイムリーかつクイックに各機能のモダナイズを進めることができます。内製を基本としたDevOpsの体制のもと、『お客様向け』『従業員向け』『スタイリスト向け』の3つのフロントでマイクロサービス化を行ってきました」と唐沢氏は語る。

こうして自社開発されたクラウドベースのICT基盤が「三越伊勢丹ビジネスプラットフォーム(MI-BPF)」なのだ。今後、三越伊勢丹グループが「おもてなしDX」を目指して展開していく各種の新サービスは、基本的にすべてこのMI-BPFをベースに運用され、グループ各社に提供している。

さらにIMSは、このMI-BPFの技術とノウハウをグループ外の企業にも広く展開していく考えだ。MI-BPFを既存システムの機能群を統合するためのクラウドサービス、すなわちiPaaSとして展開すると共に、必要に応じてコンサルティングも提供するスキームだ。システム連携やデータ活用などDXに取り組む上で悩ましい諸問題に対して「汎用性をもって解決できる実績」を世に示すべく、邁進している。

もちろん、その先には、本格的なビジネス展開を見据える。コンサルティング、インテグレーション、運用保守などのサービスをグループに限らず広く手掛け、DX具現化の力強い伴走者になることを目指すわけだ。「当初は百貨店のように店舗での接客を大切にしてきたアパレルやホテルなどをターゲットとしますが、その後は順次さまざまな業界への展開を図っていきます」と箕輪氏は語り、同社が苦労を重ねつつ実体験で培ってきた「おもてなしDX」のすべてを惜しみなく伝授していく考えだ。


●お問い合わせ先

株式会社三越伊勢丹システム・ソリューションズ

http://www.ims-sol.co.jp/

e-Mail: contact@ims-sol.co.jp

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