矢野経済研究所は2022年2月22日、国内におけるブロックチェーン活用サービス市場を調査した。2019年度の市場規模(事業者売上高ベース)は171億8000万円だった。2021年度は大手企業を中心に普及期に突入し、市場規模は783億3000万円になる見込み。2025年度には中堅企業においても普及期を迎え、市場規模は7247億6000万円に達すると予測している。
矢野経済研究所は、国内におけるブロックチェーン活用サービス市場を調査した(図1)。2019年度の市場規模(事業者売上高ベース)は171億8000万円だった。2021年度は、大手企業を中心に普及期に突入し、市場規模は783億3000万円になる見込みである。2025年度は、中堅企業においても普及期を迎え、市場規模は7247億6000万円に達すると予測している。
拡大画像表示
2019年度までは、大手企業を中心にブロックチェーンの特性などを学んでいた最初期のフェーズだった。実証実験の多くが「お試し」の状況であり、試行錯誤しながらブロックチェーンの知見を吸収していた。このため、2019年度の市場規模は、171億8000万円に留まった。
現在は、実証実験の質がお試しから効果検証へと変化してきた。より本番環境での運用を想定した検証へと進む大手事業者が出てきた。導入領域別では、特に商流管理やデジタルIDをはじめとした認証を筆頭に、非金融領域の存在感が高まった。特に2021年度からは、トレーサビリティ(流通経路の追跡確認)や認証、NFTを中心に、ブロックチェーンの活用が広がっている。
矢野経済研究所では、ブロックチェーンの活用に際して、(1)トレーサビリティ、(2)認証、(3)NFTの3つが牽引役になるとしている。
(1)のトレーサビリティは複数のプレイヤが関わるため、ブロックチェーンの強みを活かせる領域である。事例も、化粧品の商流管理や物流管理をはじめ多くの領域で、流通経路における透明性の確保や最終ユーザーの特定など、応用範囲が広がってきた。また、地方において農作物の商流管理にブロックチェーンを活用した事例が複数出てきているほか、農林水産省によるスマートフードチェーンの取組みなど環境整備の動きもある。
(2)の認証領域においても、マイナンバーカードとデジタルIDを紐づけた自治体の取組みが徐々に始まってきている。今後、他の自治体への広がりが期待できる。また、大学の学位証明書などの電子化での活用も広がっていく。特に、ペーパーレス化への移行やコロナ禍も相まって、感染防止に向けた非接触・非対面への取組みは今後も導入を後押しする。
(3)NFTは、2021年度からの急速な普及にともない、特にゲーム業界において大手ゲームソフト会社を筆頭に、既存コンテンツを活用したNFTの提供などに取組んでいる。スポーツの領域でも、選手のデジタルトレーディングカードの発行を中心に事例が出てきた。現状のNFTは法的な枠組みが明確になっておらず、今後、一定金額以上の取引における本人確認の必要性などを含めた規制が入るものとみている。