沖電気工業(OKI)とNTTコミュニケーションズ(NTT Com)は2022年3月10日、製造業に向けたデジタルトランスフォーメーション(DX)支援サービスの提供で協業すると発表した。OKIの製造業向けサービス「Manufacturing DX」とNTT Comのデータ活用基盤「Smart Data Platform」(SDPF)を連携させたサービスを2022年4月から提供する。ITとOTのデータを一元管理・分析し、サプライチェーン全体にわたる社内外のリスクマネジメントを実現できるとしている。
沖電気工業(OKI)とNTTコミュニケーションズ(NTT Com)は、製造業に向けたDX支援サービスの提供で協業する。OKIの製造業向けサービス「Manufacturing DX」と、NTT Comのデータ活用基盤「Smart Data Platform」(SDPF)を連携させたサービスを2022年4月から提供する。ITとOTのデータを一元管理・分析し、サプライチェーン全体にわたる社内外のリスクマネジメントを実現できるとしている(図1)。
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実施内容を段階的に高度化していく。STEP1では、OKIのManufacturing DXを活用し、生産数や不良品率など、自社工場の状態を示す工場KPIを収集する。こうして、販売・生産計画や実績といった全社KPIとともに、NTT ComのSDPF上に収集して可視化する。STEP2では、STEP1に加えて、サプライヤーの生産状況や外部データにもとづくサプライヤーの評価(社外KPI)を加えることで、社内外に潜む生産性や品質悪化、事業継続性などのリスクを確認できるようにする。
新サービスの主なメリットは、以下の通りである。
新サービスの導入企業
- 調達部門:発注前にサプライヤーを評価し、発注の最適化
- CSR部門:サプライヤーのリスク状況を確認
- 経営層:社内外のリスクを把握し、迅速に対策を決定
- 生産管理部門:物品調達や不良在庫のリスクを解消
- 生産現場(工場長):生産の効率化と品質向上
サプライヤー
- 自社のリスクへの対策状況をアピールし、本ソリューションの導入企業との信頼関係を強化
消費者
- 製品購買時に、原料調達/製造/流通の各フェーズで納期遅延などのリスクに配慮している製品を選択し、必要な製品を必要なタイミングで入手
OKIはこれまで、センシングやAI技術の活用により、製造現場における4Mデータの収集・分析に取り組んできた。一方、NTT Comは、複数のクラウド環境に分散している社内外のデータをセキュアに収集・分析可能なデータ活用基盤などの提供によって、製造業を含むさまざまな業界のDXに取り組んできた。今回両社は協業し、ITとOTデータをSDPF上で連携させて一元的に管理し、社内とサプライチェーン上のリスクを多角的に分析することを目指す。リスクマネジメントの精度を高め、ハイリスクな企業を集中的に管理できるようにする。
2022年4月のサービス提供開始後、順次機能の拡充を行う。さらに、2023年度以降、環境分野などへもリスク指標を拡充する。
協業の背景について両社は、製造業を取り巻くリスクが多様化し、サプライチェーン全体のリスクマネジメントの精度向上が求められている一方で、ITとOTのデータは別々に管理されているケースが多いことを挙げている。ITとOTのデータを連携できていないことが、さまざまな角度から複合的にリスク要因を分析する上での課題となっていたという。