「CIO賢人倶楽部」は、企業における情報システム/IT部門の役割となすべき課題解決に向けて、CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)同士の意見交換や知見共有を促し支援するユーザーコミュニティである。IT Leadersはその趣旨に賛同し、オブザーバーとして参加している。本連載では、同倶楽部で発信しているメンバーのリレーコラムを転載してお届けしている。今回は、アマナ 取締役 Platform Design部門担当 石亀幸大氏によるオピニオンである。
新型コロナウイルス感染症が蔓延して約2年。この間、人々の行動や経済活動が大きく制限され、筆者が所属するアマナグループも経営面で大きな影響を受けました。一方でリモートワークを中心とした新しい働き方へと社会全体の変革が進んだ面もありました。
そんな状況下で、アマナグループのICTを含むPlatform Design部門(働く場であるプラットフォームをデザインする部門。いわゆる管理系全般の部署をこのように呼んでいる)の責任者である私は、この2年間、新型コロナウイルス対策本部長を務めてきました。この場をお借りして、コロナ禍での対応と今後に向けて考えていることについて書かせていただきたいと思います。
テレワーク体制を継続し、現在の在宅勤務率は7割
当グループは静止画・動画の撮影やCGといったビジュアル制作、コミュニケーションコンテンツのデザイン・構築、イベント企画など、コミュニケーション変革をクリエイティブで解決するビジュアルコミュニケーション事業を行っています。ネットで完結するストックフォト(写真素材)の販売事業もありますが、大半はスタジオやロケ地などリアルな現場があり、人と人とが顔を付き合わせて何かを作り上げていくビジネスです(画面1)。
画面1:アマナのコーポレートサイト。YKKのデジタルショールームのデザインを手がけた事例が紹介されている拡大画像表示
実のところ、社外で業務を行うスタッフも多いので、コロナ禍以前から社内システムへのリモートアクセス環境の整備やアプリケーションのクラウド化、マルチデバイス対応、それらを前提としたセキュリティ対策など、場所を選ばずに業務を行える環境を整えていました。しかし、リアルな現場でコミュニケーションをとりながら制作することに加え、ハイスペックなIT機器を必要とするCG・動画制作などは、どうしても場所が限定されます。請求書の処理など会社でしかできない紙での対応も残っていました。そんな状態でコロナ禍を迎えることになったのです。
2020年3月頃に国内を襲った第1波では、自治体からの要請や緊急事態宣言を受けて、在宅勤務へと一気に舵を切りました。ICT部門は自宅のネットワーク環境が脆弱でリモート業務が難しい社員のためにWi-Fiルーターを手配し、CG制作を担当するスタッフには自宅から社内のワークステーションにアクセスする環境を用意しました。一部残っていた紙が必要な業務については紙をPDF化し、最小限の出社で回せる急ごしらえのワークフローを構築して対応しました。
お客様をはじめとする外部の方々とのやりとりも可能なかぎりオンライン化し、非対面で業務ができる体制に移行しました。さらに、リアルなイベントや展示会、セミナーができなくなりましたので、これらをオンラインで行えるようにするバーチャルライブ配信商材を急遽開発。クライアントにご提供するといったことも行いました。
この結果、緊急事態宣言下では、全スタッフの9割が在宅で勤務する状態に移行しました。その後は感染状況の変化に応じて出社条件を変化させるなどの運用を継続しており、現時点における在宅勤務率は7割程度で推移しています。
●Next:“対面ゼロ”で基幹システム刷新プロジェクトをどう進めたのか?
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