【Special】

デジタル時代の先行優位を獲得する礎〜マルチクラウドの価値を最大化させるには

2022年4月19日(火)

2020年代はマルチクラウドとアプリケーションのリーダーを究める「第3章」──。そう強調するVMware(ヴイエムウェア)は今、どのような製品ポートフォリオで顧客に価値を届けようとしているのか。2人のキーパーソンに話を伺った。

 今やビジネスとデジタルテクノロジーとは密接不可分な関係にある。それは、人手では時間がかかりミスも紛れがちな作業を迅速かつ正確にこなす、つまりは生産性を大幅にアップするという域にとどまらず、最近では、顧客にとっての豊かな体験を創り出したり、これまでは思いもしなかった(思ったところで不可能だった)斬新なビジネスモデルを実現したりと、“デジタルならでは”の側面が際立ってきていることは多くが肌身で感じていることだろう。

 最新テクノロジーの魅力に目を奪われるあまり、目的と手段を履き違えてしまうこともあるので注意が必要だ。「新しいビジネスをいち早く手掛けたプレーヤーが市場シェアを一気に獲得する先行優位性がますます顕著になっています。“タイム・トゥ・マーケット”こそが勝負所であり、それを支えるのがインフラやアプリケーションの展開手法であるという関係性を見誤ってはいけません」──そう話すのは、米VMwareの日本法人、ヴイエムウェアでクラウドサービス事業部長を務める神田靖史氏だ。

ヴイエムウェアでクラウドサービス事業部長を務める神田靖史氏

 その文脈において、複数のパブリッククラウドを適材適所で使いこなす「マルチクラウド」や、コンテナなどの「クラウドネイティブ」な技術/手法/流儀に期待と注目が集まるのは頷けるところだが、日米の市場には大きな違いがあると神田氏は指摘する。

 マルチクラウドを例に取ると、「米国ではBCPやDR、あるいは全体のガバナンスといった観点を総合し、“かくあるべし”という具体像をCIO/IT部門が定めて邁進します。一方の日本では、発言力が強い事業部門それぞれの都合でクラウドを選択し、“結果として”マルチクラウドになっているというケースが少なくありません」と神田氏。つまり、想いや狙いといった芯のあるインフラ戦略と、そうではないインフラ戦略との差が歴然としているということだ。アプリケーションのデリバリーやリリースといった領域も同様で、「合理性や先見性の下でのイニシアティブの有無が、この先の持続的成長に大きく影響することは間違いありません」(神田氏)と警鐘を鳴らす。

Cross-Cloudを標榜してソリューションを拡充

 前出の「タイム・トゥ・マーケット」を極めるためのインフラレイヤーや、アプリケーションの開発〜展開のあるべき姿とは──。この命題に照らしつつ各種のソリューションを展開しているのがVMwareである。「マルチクラウド」が世の注目ワードとなる前の2016年から、「Cross-Cloud(クロスクラウド)」と呼ぶコンセプトを提唱。複数のパブリッククラウドを統合し、あたかも一枚岩のように扱う環境を標榜しながらポートフォリオを拡充してきた。

 背景には、マルチクラウドを妨げる要因が少なくないという事情がある。特に、AWSやAzureなど個々のパブリッククラウドサービスごとに仕様や必要となる運用管理スキルが異なっている点での悩みは尽きない。同社によると、企業の経営陣の91%がパブリッククラウド間の一貫性の向上を望んでいるという。こうした声に応え、課題を一掃することに同社の主眼があるわけだ。

 では、マルチクラウドにうまく対処できている企業はどのような恩恵を受けているのだろうか。ここで神田氏は「VMware 2022年度下半期ベンチマーク:デジタルモメンタム」の調査結果を引用。モダンアプリケーションを素早くデリバリーすることで収益が35%増加、ITインフラにかかるコスト(作業時間)が41%減少といった数値を示しながら、真のデジタル変革を加速できていると説明する(図1)。

図1 理想的なマルチクラウド環境と、その導入・活用による効果。アプリケーションの迅速なデリバリーが収益アップにつながるといった声がある(出典:ヴイエムウェア)
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 理想的なマルチクラウド環境について、同社の渡辺隆氏(マーケティング本部 チーフストラテジスト)は、デプロイ場所に関わらずIT担当者がアプリケーションを一貫して管理できることや、リファクタリングすることなくクラウド間でアプリケーションを容易に移動できること、開発者がどのパブリッククラウドでもアプリケーションを開発・デプロイできること、などの要件を列挙。一方では、確固としたセキュリティを含め、ガバナンスモデルの構築が重要だと指摘する。「例えば、契約のしかたを一つ誤っただけでコストが一気に膨れ上がるようなケースがあります。先行した米国に倣って日本でも『クラウドCoE(Center of Excellence)』を組織化するいいタイミングです」(渡辺氏)。

ヴイエムウェアでマーケティング本部 チーフストラテジストを務める渡辺隆氏

パブリッククラウドを抽象化/汎用化

 VMwareが提供するのはマルチクラウドの複雑さを解消し一貫性を提供するためのソリューション群だ(図2)。ネットワーク機能、ストレージ機能、EDR(エンドポイントでの検知と対処)などのセキュリティ機能、サーバー仮想化基盤、クラウド運用基盤、コンテナアプリケーション基盤、マルチクラウド管理基盤、などをラインアップしている。

図2 クラウドをまたがった環境を統合的に管理するコンセプト「VMware Cross-Cloud Services」を実現する、主なVMware製品群。マルチクラウドの複雑さを解消して一貫性を提供するとしている(出典:ヴイエムウェア)
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 中核となるクラウド基盤では、サーバー仮想化基盤の「VMware vSphere」や、クラウド運用基盤に必要なソフトウェア一式をパッケージ化した「VMware Cloud Foundation」などを提供。さらに、これらデータセンター向けのソフトウエアをクラウドサービスの形でも提供している。現在では、AWS/Azure/Google Cloudや、Oracle Cloud、IBM Cloudなど各種のパブリッククラウド上で、オンプレミスのVMware vSphere環境と同等の環境を利用できる。

 「オンプレミス環境のサーバー仮想化でVMware vSphereはデファクトスタンダード的な存在。パブリッククラウドであっても、仮想マシンを動かす用途であればVMware vSphereを使うのが理にかなっています」と神田氏は強調する。仮想マシンのライブマイグレーションはオンプレミス環境では今や不可欠の機能となっているが、素のパブリッククラウドでは対応していないものもあるからだ。

 さらに渡辺氏は「パブリッククラウドの汎用化という観点でVMware Cloudの価値が発揮されます」と話す。進化や開発競争が激しいクラウド領域は、次々の魅惑的な機能がリリースされる一方で、過去からの継続性は必ずしも保証されない。そこで必然的に、パブリッククラウドの乗り換えというニーズが生まれるのだが、ノウハウが使い回せないという悩みも付いて回ることになる。「レイヤー(VMware Cloud)を1枚被せておけば、下のレイヤー(パブリッククラウドサービス)の乗り換えはスムーズ。どのレイヤーで腹を括って抽象化するのかという話であり、VMware Cloudが、その最有力候補となります」(渡辺氏)。

アプリケーションの開発・展開をも変革する

 VMwareは、Cross-Cloud戦略の一環としてモダンアプリケーションの運用や、マルチクラウド全体の運用を支援するサービスなども拡充させている。

 直近の2022年2月には、アプリケーション基盤として「VMware Tanzu for Kubernetes Operations」をリリースした。コンテナアプリケーションの運用基盤「Kubernetes」を利用する上で必要になる機能群をオールインワンで提供。Kubernetesに加えて、クラスタライフサイクル管理、オブザーバビリティ(可観測性)、ロードバランス(負荷分散)などの機能群で構成する。

 コンテナアプリケーションの開発者を支援する「Tanzu Application Platform」も2022年1月にリリース済みだ。これは、アプリケーションのソースコードを書いてからKubernetesにデプロイするまでに必要な処理を自動化するもの。Kubernetes上で稼働するコンテナアプリケーションの開発には数多くの設定ファイルが必要になるのだが、この設定ファイルの作成が開発者の負担となっている。Tanzu Application Platformはこの作業を自動化することで、開発者にさらなる生産性を提供することを狙っているという。

 現在、複数のパブリッククラウドを利用する企業が増えている。パブリッククラウドの利用は容易に始められるため、気がつくと部門ごとに「クラウドのサイロ」ができてしまい、結果として知らないうちに高額な利用コストがかかってしまった経験はないだろうか。また、近年ではクラウドの設定ミスによりセキュリティインシデントが発生したことがニュースになるケースも増えている。「これからは、パブリッククラウドのコストとセキュリティを経営テーマの一つとして捉えるべきです」(渡辺氏)。

 マルチクラウドのコスト可視化と最適化、クラウドの設定ミスを監査し適切なアドバイスを提示するSaaS製品がCloudHealthだ。予算を構成して年間コストを事前に見積もり、実際にかかった費用との比較が可能になる。事前に設定した予算を支出が上回ると予測される場合は、早期にアラートが発行される。また予測機能を有効にすると、指定した期間の過去のデータをもとに、将来の数値を予測する、といった機能を有している。

図3 米VMwareがSaaS型クラウドサービスの形態で提供している運用管理製品の例。マルチクラウド環境でコストの可視化や設定ミスの監査を行う「CloudHealth」などがある(出典:ヴイエムウェア)
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 「仮想化のリーダーとしての2000年代、プライベートクラウドのリーダーとしての2010年代、そして今、マルチクラウドとアプリケーションのリーダーを念頭に2020年代のソリューション展開に力を注いでいます。ユーザー企業のビジネス戦略とデジタル変革のシンクロを加速させて飛躍的成長を強力にサポートすること、つまりは当社としての“第3章”を究めて完遂することが我々のミッションです」と両氏は強調し、取材を締めくくった。


●お問い合わせ先

ヴイエムウェア株式会社

お問い合わせフォーム:
https://www.vmware.com/jp/company/contact_sales.html

Cross-Cloud Services について:
https://www.vmware.com/jp/cross-cloud-services.html?src=WWW_JP_HPVP0_CrossCloudSeries_SiteLink

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