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三菱商事、海上輸送滞船料をデジタル通貨で決済する実証実験、決済作業を8割削減

2022年5月2日(月)日川 佳三(IT Leaders編集部)

三菱商事は、海上輸送で発生する滞船料をデジタル通貨で決済する実証実験を2022年1月に実施した。スマートコントラクトの仕組みによる貿易取引の契約自動執行によって、案件の登録から決済までを1つのシステムで一貫して実施できることと、企業間決済に関連する作業を最大で約80%削減できることを確認した。デジタル通貨フォーラムの事務局を運営するディーカレットDCPが2022年4月27日に発表した。

 三菱商事は、海上輸送で発生する滞船料をデジタル通貨で決済する実証実験を2022年1月に実施した。スマートコントラクトを活用して貿易取引の契約を自動で執行する。これにより、案件の登録から決済までを1つのシステムで一貫して実施できることと、企業間決済に関連する作業の最大約80%を削減できることを確認した。実験の商材はバイオマス燃料である(図1)。

図1:海上輸送の滞船料をデジタル通貨で決済する業務の流れ(出典:ディーカレットDCP)図1:海上輸送の滞船料をデジタル通貨で決済する業務の流れ(出典:ディーカレットDCP)
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 実証実験の背景について、貿易取引の料金決済が複雑で長期化する問題を挙げる。例えば、契約当事者間での作業重複、請求から決済に至るオペレーションの煩雑さ、資金化までのタイムラグの長さなどの課題があるという。

 これらの課題を解決するため、デジタル通貨とスマートコントラクトの実験を実施。実験環境の構築、実験環境上でのスマートコントラクトの作成、実績データの登録と関係者間での確認、滞船料の自動計算とデジタル通貨での自動決済、を検証した。実験は、三菱商事とNTTが共同で設立(出資比率は三菱商事が51%、NTTが49%)したインダストリー・ワン(東京都千代田区)の協力の下で進めた。

 デジタル通貨には「DCJPY(仮称)」を採用した。円と連動する「円建て」のデジタル通貨として設計されており、民間銀行が債務として発行することを当面の前提としている(かかる債務は「預金」としての位置づけを想定)。また、「共通領域」と「付加領域」と呼ぶ2つの領域を設けており、付加領域には各種ニーズに応じてプログラムを書き込める。これにより、モノの流れとDCJPYをリンクさせた形で決済が可能になる。

 なお、三菱商事はデジタル通貨フォーラム(事務局:ディーカレットDCP)のメンバーとして今回の実証実験を行った。同フォーラムには、銀行、小売、運輸、情報通信など80社以上が参加し、日本におけるデジタル通貨の実用性などを検討している。

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