[調査・レポート]

DX推進で中小企業が直面する人材不足、育成と定着でなすべきことは?─SAPジャパン調査

従業員の定着率向上とDXの関係性に関する調査レポート「変革に必要な人材の確保」より

2022年5月12日(木)神 幸葉(IT Leaders編集部)

SAPジャパンは2022年5月11日、従業員の定着率向上とデジタルトランスフォーメーション(DX)の関係性に関する調査レポート「変革に必要な人材の確保」を発表した。アジア太平洋地域8カ国の中小企業経営者とテクノロジー意思決定者を対象とした同調査では、日本の中小企業の8割が「人材不足がデジタル変革に影響を及ぼす」と回答。従業員の定着とスキルアップを急務と考える企業は5割を超え、多くの企業が人材の育成・定着に注力する姿勢を示している。

 SAPジャパンは、従業員の定着率向上とDXの関係性に関する調査レポート「変革に必要な人材の確保」を発表した。調査は、2021年12月~2022年1月の実施期間で、日本を含むアジア太平洋地域の8カ国1363人の中小企業経営者とテクノロジー意思決定者(うち日本の中小企業経営者207人)を対象に実施。経済協力開発機構(OECD)の定義に基づき、11人から250人の従業員を擁する組織を中小企業としている。

 回答者の国別の内訳は、オーストラリア(n=105)、ニュージーランド(同101)、シンガポール(同100)、タイ(同207)、インドネシア(同210)、日本(同207)、インド(同212)、韓国(同221)となっている。

86%の中小企業が「人材不足がDXに直接影響」と回答

 同調査によると、来年の企業の存続にとってDXが「ある程度重要」「非常に重要」と回答をした日本の中小企業は36%にとどまった。アジア太平洋地域全体が74%であるのに対し、デジタル変革に対する意識は低いことがうかがえる結果となった。

 一方で、86%が「従業員の変動(退職など)が自社のDX計画に直接影響を及ぼしている」と回答した。同じ中小企業のレンジでアジア太平洋地域全体では40%が「12カ月前と比較して、退職する従業員が増えている」と回答しているのに対し、日本の回答は17%と少なかった。

 SAPは、「従業員の離職率は低くても、従業員の確保と定着に課題があることが推測される」と分析する。調査では、日本の中小企業の43%が、1年前と比較して後任者の採用や人員の補充が難しくなったと感じていると回答し、31%が、採用時に適任者が「ほとんど/まったく見つからない」と回答している。

 日本の中小企業は解決すべき最優先課題として、サイバーセキュリティや予算不足といった問題よりも人材不足を挙げている。調査では、52%がDX推進に従業員のスキルアップが急務だとし、39%が2022年を通して、デジタルトレーニングに注力する予定と回答している。また、今後12カ月間にわたって従業員の定着率を向上させるための重点課題として、「柔軟な勤務形態の導入」(46%)、「金銭的インセンティブの改善」(40%)が上位に並び、「主要な人材を維持するために今後12カ月間でスキルアップの機会を提供する」との回答は33%だった。

 SAP アジア太平洋地域プレジデントのポール・マリオット(Paul Marriott)氏は、「デジタル変革は、レジリエンス(Resilience:混乱への対応能力)の強化だけでなく、スピーディかつ革新的に成長へと道を切り開いていく根本的な方法である。日本の中小企業が成長していくためには、人材に対しても、イノベーションに対する投資と同等の投資が必要だ」と指摘する。

●Next:中小企業は自社のレジリエンス能力をどう評価しているか

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