[調査・レポート]

AWS利用実態調査、管理/ガバナンスやセキュリティに取り組む企業が増加─クラスメソッド

5年間のカテゴリー別成長率ではコンテナが突出

2022年8月17日(水)神 幸葉(IT Leaders編集部)

クラスメソッドは2022年8月16日、AWS(Amazon Web Services)の利用状況を調査・分析した結果を発表した。2021年下半期のサービス分野別利用額ランキングは、前半期の結果同様、1位が「コンピューティング」、2位が「データベース」、3位が「ネットワーキングとコンテンツ配信」だった。6位にはAWSのコスト最適化やリスク管理などを目的とした「管理とガバナンス」が入り、AWSの活用が進み、管理に工夫を凝らしていることがうかがえる。

管理とガバナンスの利用費が順位を上げる

 クラウドインテグレーター(CIer)のクラスメソッドは、ユーザー企業におけるAWSの利用実態を詳らかにするため、利用サービスカテゴリー別分析・ランキングの結果を発表した。調査は同社のAWS総合支援サービス「クラスメソッドメンバーズ」登録アカウントへの請求情報に基づき、2017年1月1日~2022年3月31日のAWS利用状況を調査・分析したものである。半期ごとに最新版を発表している(関連記事クラスメソッドがAWS利用実態を発表、コンテナ利用の急伸やコロナ禍のVDI需要)。

 AWSは2022年8月現在、コンピューティング、ストレージ、データベース、ネットワーキング、分析、マシンラーニング、AIなど、21カテゴリー/200種類以上のサービスを提供している。その中で、クラスメソッドが算出した2021年下半期のサービスカテゴリー別利用費ランキング上位10項目は表1のとおりとなった。

2021年下期順位 2021年上期順位 順位変動 サービスカテゴリー 概要・主要サービス
1 1 コンピューティング 仮想サーバーであるAmazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)など、AWS上でのアプリケーション実行に関わるサービス
2 2 データベース Amazon Relational Database Service(Amazon RDS)やAmazon DynamoDBなどのデータベース関連サービス
3 3 ネットワーキングとコンテンツ配信 Amazon CloudfrontやAmazon Virtual Private Cloud(Amazon VPC)などのセキュアなネットワーク機能とコンテンツ配信に関わるサービス
4 4 ストレージ Amazon Simple Storage Service(AmazonS3)、Amazon Elastic Block Store(Amazon EBS)、Amazon Elastic File System(Amazon EFS)などのストレージサービス
5 5 分析 Amazon RedshiftやAmazon Athena、Amazon Kinesisなどの、データウェアハウスと分析ツール
6 7 管理とガバナンス Amazon CloudWatchやAWS CloudTrailなど、リソース管理に関わるサービス
7 6 エンドユーザーコンピューティング Amazon WorkSpacesやAmazon WorkDocsなど、仮想デスクトップ関連サービス
8 8 コンテナ Amazon Elastic Container Sservice(Amazon ECS)や、AWS Fargateなど、コンテナの作成と運用管理に関わるサービス
9 9 セキュリティ、ID、およびコンプライアンス AWS WAFやAWS Identity and Access Management(IAM)、AWS Security Hubなどの、認証やセキュリティ対策サービス
10 10 移行と転送 CloudEndure MigrationやAWS Migration Hubなど、オンプレミスなどからAWSにアプリケーションやデータを移行するためのサービス

表1:2021年7月〜12月の利用額ランキング(出典:クラスメソッド)

 2021年上半期の同ランキングと比較すると、「管理とガバナンス」(6位)と「エンドユーザーコンピューティング」(7位)の順位が入れ替わっている。「エンドユーザーコンピューティング」は利用額が増加し続けているものの、成長率において「管理とガバナンス」がわずかに上回った。

 「管理とガバナンス」は、AWSのコスト最適化やリスク管理といったリソース管理を目的としたサービス群であり、使用するアカウント数やサービス数が増加するにつれて重要になる機能だ。クラスメソッドによると、この項目の順位が上がるのはAWSの活用が進み、リソース管理に取り組むユーザーが増えていることを示しているという。

 また、順位こそ下げたものの「エンドユーザーコンピューティング」は、コロナ禍におけるリモートワークや在宅勤務への対応などのニーズから、2020年第1四半期(1月〜3月)から増加傾向にある。2022年第1四半期も利用額が増え続けており、リモートワーク環境下でAWSの活用が進んでいることがうかがえる。

 利用サービスカテゴリー比率では、引き続き「コンピューティング」「データベース」が全体の利用費の約7割を占めるが、他のサービスカテゴリーも徐々に比率を高めている(図1)。「コンピューティング」はオンプレミスからクラウドにサーバーを移行(マイグレーション)し、アプリケーションを実行するための基本的なサービスカテゴリーだが、クラスメソッドによると、近年はコストや運用面で効率のよいサーバーレス構成の採用や、開発効率の高い「コンテナ」を使用するケースも増えているという。

 また、全体に対する割合としては小さいが、「セキュリティ、ID、およびコンプライアンス」「管理とガバナンス」も徐々に比率を高めている。同社はその理由として、ユーザー企業の各種システムがオンプレミスからAWSへの移行が進みつつあることや、クラウドネイティブな環境におけるセキュリティ対策への注力を挙げている。

図1:2017年1月~2022年3月におけるAWS利用サービスカテゴリー比率の推移(出典:クラスメソッド)
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●Next:AWSサービスカテゴリー別 利用費の推移

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