[市場動向]

日本IBM、金融機関向けに次世代勘定系システム戦略を策定、メインフレームとオープンのハイブリッド

先行プロジェクトではシステム移行でTCOを3割超削減見込み

2022年11月10日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)

日本IBMは2022年11月10日、「次世代勘定系ソリューション戦略」を発表した。勘定系システムにメインフレームを活用しつつ、オープン環境やクラウド環境も活用する。同戦略に則って、一部のユーザーとプロジェクトを開始している。このユーザーの事例では、メインフレームとオープン環境のハイブリッド化を図ることで、現行プログラムを40%程度削減し、ハードウェアおよびソフトウェアのシステム資源を50%以上削減し、開発生産性を30%向上し、システム運営コストを30%以上削減する見込み。

 日本IBMの「次世代勘定系ソリューション戦略」は、システム構築ベンダーの立場で策定した、勘定系システムの戦略である(図1)。次世代の勘定系システムの姿を策定し、これに基づくロードマップを定義した。信頼性の高いメインフレームを勘定系システムに活用しつつ、オープン環境やクラウド環境も活用する。

図1:日本IBMが目指す勘定系システムの姿(出典:日本IBM)
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 同戦略に則って、一部のユーザーとプロジェクトを開始済み。このユーザーの事例では、メインフレームとオープン環境のハイブリッド化を図ることで、現行プログラムを40%程度削減し、ハードウェアおよびソフトウェアのシステム資源を50%以上削減し、開発生産性を30%向上し、システム運営コストを30%以上削減する見込み。

 背景として、現在の勘定系システムは、長年の開発によって、競争領域(チャネルや外部連携などの顧客サービス)と非競争領域(他行と同等な商品・サービス)が混在している。これにより、システムのブラックボックス化や、開発やメンテナンスの生産性低下といった課題が顕在化している。

 次世代の勘定系システムでは、複雑化・肥大化したロジックを疎結合化・スリム化し、競争領域のデジタルコアサービスと、非競争領域のデータコアサービスに再配置する。勘定系システムで発生したデータとイベントは、即座にデータコアサービスに連携させ、データの活用を最大化する。

 非競争領域のシステムと競争領域のシステムを、独立して開発可能である。このため、システムを全面刷新・移行するリビルドやリホストの必要がない。リスクとコストを抑えつつ早期に次世代勘定系システムを実現できるとしている。

 戦略に基づくロードマップは図2の通り。2段階のフェーズで勘定系への投資とデジタルへの投資を進める。

図2:「金融次世代勘定系ソリューション戦略」に基づくロードマップ(出典:日本IBM)
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 第1フェーズでは、経営戦略を実現するためにスピードが求められるチャネルやデジタル戦略といった競争領域の機能をデジタルシステム基盤に移植する。一方、非競争領域の基本機能については、メインフレームの高可用性を活かしながら、次世代勘定系システムへの移行をスムーズにするため、アプリケーションを整理し、オープン環境やクラウド環境の活用を進める。既存システムを段階的に高度化することで、既存システムの有識者によるIT人材へのスキル継承を進める。

 第2フェーズでは、スリム化した勘定系システムをベースに、次世代勘定系システムの基盤としてメインフレームを進化させる。このうえで、オープン環境やクラウド環境も選択可能として、システムのハイブリッド化を実現するとしている。

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