矢野経済研究所は2022年11月16日、国内のCAD/CAM/CAEシステム市場を調査し、分野別やアプリケーション別の販売実績、ベンダー別シェアなどを発表した。2021年度の市場規模(ベンダー出荷金額ベース)は4097億1200万円で、前年度比5.6%増となった。2022年度は前年度比6.1%増の4346億8900万円を見込む。
矢野経済研究所は、国内のCAD/CAM/CAEシステム市場を調査した。調査対象は、機械系CAD/CAM/CAE(2次元CAD、3次元CAD、金型設計用CAD/CAM、機械系CAE、PDMなど)、電子機器や半導体の設計作業支援ソフトウェアのEDA(Electronic Design Automation)、建築や設備、土木、プラントなどの設計支援ソフトウェアの土木・建築系CADである。調査期間は2022年6月~9月で、同社の専門研究員による面談(オンライン含む)と文献調査を併用して調査を実施した。
システムベンダーの出荷金額ベースで算出した2021年度の同市場規模は4097億1200万円で、前年度比5.6%増だった(図1)。
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「2020年度は、民間企業設備の落ち込みが原因で最大の市場である機械系が落ち込んだ。一方で電子・電機、建設業界が好調だったことから、EDAと土木・建築系CADが伸びている。新型コロナウイルス感染症の影響を受けて落ち込みをを予測したが、落ち込み幅は想定よりも小さかった」(同社)。
同社は、落ち込み幅が想定よりも小さかった要因を「デジタルトランスフォーメーション(DX)と呼ぶ言葉が流行語になったように、日本のユーザーは新型コロナウイルスという危機に対して、ITの力で乗り切るという前向きの努力をしたことが大きい」と説明する。
2022年度は、前年度比6.1%増の4346億8900万円を見込む。「2022年度の先行きは不透明で、新型コロナウイルス感染症、エネルギー価格の高騰、半導体サプライチェーンの混乱が世界経済に大きな影響を与えている。一方で、米国市場の回復と円安によって国内の製造業は輸出型産業を中心に業績が回復しているため、日本国内のCAD/CAM/CAEシステムに対する投資は拡大していく」(同社)。
矢野経済研究所は、CAD/CAM/CAEシステム分野の注目トピックとして、デジタルツインを挙げる。「昨今では、機械系CAD/CAM/CAEベンダーだけでなく、EDA・土木・建築系のベンダーまでがデジタルツインを打ち出しており、ものづくりのキーワードになりつつある」(同社)という。
「現在のものづくりでは、製品情報を互いに関連付けて製品ライフサイクルをいつでもさかのぼれることなどが求められている。これを実現するには3次元CADやPLMだけでは不十分で、実機と仮想を結びつけるデジタルツインが必要になってくる」(同社)