[事例ニュース]

千葉大学病院とNTT Com、炎症性腸疾患を患者のプライバシーを保護した状態で観察研究

個人情報や回答内容を秘匿化して収集・分析

2022年11月29日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

千葉大学医学部附属病院(千葉県千葉市)とNTTコミュニケーションズ(NTT Com)は2022年11月29日、患者のプライバシーを保護した状態での炎症性腸疾患(IBD)の観察研究を同年12月に開始すると発表した。IBDの新たな知見獲得と患者のQOL向上を目指す。要素技術として、NTT ComとePRO(患者による健康状態報告)システム「SmartPRO」と、データを秘匿化した状態で分析して結果のみを出力する「析秘」を活用する。

 千葉大学医学部附属病院とNTTコミュニケーションズ(NTT Com)は、患者のプライバシーを保護した状態での炎症性腸疾患(IBD)の観察研究を2022年12月から2025年7月にかけて実施する。IBDの新たな知見獲得と患者のQOL向上を目指す(図1)。

図1:患者のプライバシーを保護した状態での炎症性腸疾患(IBD)の観察研究のシステム構成。ePROシステム「SmartPRO」とクラウド型秘密計算サービス「析秘」を活用する(出典:千葉大学医学部附属病院、NTTコミュニケーションズ)
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 NTT Comが提供する技術/システムを活用する。具体的には、ePRO(患者による健康状態報告)システム「SmartPRO」と、データを秘匿化した状態で分析して結果のみを出力する「析秘」を活用する(関連記事NTT Com、クラウド型の秘密計算サービス「析秘」を提供、Webブラウザから利用可能)。

 千葉大学病院とNTT Comは、臨床データを安全に活用する検討を2021年から進めてきた。今回、この一環として、若年層に好発が目立つ原因不明の慢性疾患であるIBDの観察研究を始める(関連記事千葉大学病院、臨床研究データを暗号化したままAIモデルを作成する研究を開始)。

 「従来、IBDの観察研究は、2~3カ月に1回程度の診察で収集した臨床所見をもとに進めてきた。しかし、日々の症状を把握することが難しいほか、医師にも伝えづらい日常生活などの情報を提供する際の心理的な負担が課題だった」(千葉大学病院、NTT Com)。今回の研究では、デジタル技術を活用することで、患者のプライバシーを保護したうえで、これまで収集が難しかった有用な報告情報を収集する。

 患者は、ePROシステムのSmartPROを使って、日々の体調変化などプライベートな内容を自身のスマートフォンから回答する。収集した回答は、秘密計算サービスの析秘で、患者の個人情報や回答内容を秘匿化した状態で分析し、結果だけを医師や研究員に伝える。

 なお、今回の研究では、分析結果を患者にフィードバックする手段も提供する。また、臨床所見とPROを秘匿化したまま横断的に分析することや、複数の施設から臨床所見とPROを収集して分析する多施設共同研究も実施する予定である。

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