日本郵船(本社:東京都千代田区)は、運航管理システムの刷新にあたり、既存の会計システムなどとのデータ連携手段をノーコードで開発した。アステリアの企業データ連携(EAI/ESB)ソフトウェア「ASTERIA Warp」を用いて、新入社員を含めた4人のチームで開発した。アステリアが2023年7月11日に発表した。
日本郵船は以前、海運事業システムを部署ごとにオンプレミスで個別に運用しており、システムの老朽化が課題だった。新たな基幹システムとして、米Veson NauticalのSaaS型運航管理プラットフォーム「Veson IMOS Platform(VIP)」を導入して社内のシステムを集約・統合した。
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基幹システムの刷新と運用にあたって、既存の会計システム(SAP)、船舶動静システム、自動船管理システムなどとのデータ連携基盤をアステリアの企業データ連携(EAI/ESB)ソフトウェア「ASTERIA Warp」で整備した(図1)。
データ連携基盤の選定では、アダプターを介して各種クラウドサービスや基幹システムと連携できることや、システム連携に必要なファイルフォーマットやコードを変換する機能などを備える点を評価した。
会計(SAP)、船舶動静、自動船管理などの既存システムとVIPとのデータ連携基盤を、新入社員を含めた4人のチームがASTERIA Warpを用いてノーコードで開発した。データのマッピング機能、デバック機能、ユーザーコミュニティ「AUG」などを活用し、プログラミングスキルを用いることなくデータ連携基盤を構築した。
データ連携の例として、VIPのCO2排出量計測データと、SAPの燃料や貨物内容などの会計データを連携させた。これらを分析することで、個々の運送に関わるCO2排出量の算出が可能になった。現在までに、約1年の期間で約60のデータ連携処理を開発した。同社のアプリケーション開発手法の主流であるJavaのスクラッチ開発と比較して開発工数を約6分の1に削減している。
日本郵船は、今回の取り組みで、全社的なデジタルトランスフォーメーション(DX)の土台を構築したとしている。今後は、社内の各種システムに蓄積したデータを活用しながら、データドリブン経営の推進にも取り組んでいく。