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静岡市、児童相談所の対応品質と業務負荷をAIで改善、ベテラン職員の知見を継承

2023年10月16日(月)IT Leaders編集部

静岡市は、児童相談所の業務負荷をAIで軽減する施策に取り組んでいる。NECの協力を得て構築したAIシステムを2024年4月から運用する。通告内容に関する過去の類似事例などをAIが提示する。検証(2022年12月~2023年3月)では対応品質が約54%向上し、業務時間が約33%減ったという。NECが2023年10月13日に発表した。

 静岡市は、児童相談所の業務負荷をAIで軽減する施策に取り組んでいる。AIシステムをNECの協力を得て構築し、2024年4月から運用する(図1)。

図1:児童相談所の業務負荷を軽減するAIシステムの全体イメージ(出典:NEC)

 AIシステムは以下の機能を提供する。

(1)通告内容に関する過去の類似事例などを提示し、職員をサポートする
 児童相談所内のリスクアセスメントデータとベテラン職員の知見とノウハウをAIに学習させる。児童虐待への対応における通告・調査・処遇の各フェーズに応じて、過去の類似事例やベテラン職員からのアドバイスなどの有益な情報を提示する(画面1)。

 同システムを利用することで、経験の浅い職員でもベテラン職員と同じような着想で行動できるようになり、組織全体で対応品質が向上する。なお、同システムにはNECソリューションイノベータのホワイトボックス型AIを実装し、AIが提示した情報の選定根拠の確認が行える。

画面1:児童虐待への対応時に、過去類似事例や、ベテラン職員からのアドバイスなどを提示する(出典:NEC)
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(2)音声認識AIを活用して記録業務を効率化する
 面談記録や会議の文字起こしを音声認識AIを用いて自動化する。児童相談における専門的な用語を学習させることで、音声の認識精度を高めている。職員の負荷が減り、コア業務である児童福祉業務に注力できるようになる。

 また、児童虐待の初動対応は48時間ルールに基づきスピード感を持って行われる。これを支援するため、音声入力やタブレットデバイスへのタッチ入力により、システム操作の手間を最小限に抑えるように設計したという。

 静岡市とNECが2022年12月から2023年3月にかけて実施した同システムの検証では、児童相談所における過去の類似事例を提示することで対応品質が約54%向上した。また、記録業務に音声認識AIを活用することで業務時間が約33%減ったという。

 「児童相談所において児童虐待の相談件数が増え、職員の業務負荷が増大している。一方、定年退職などでベテラン職員が減りつつあり、経験の浅い職員へのノウハウの継承に課題がある。また、職員は面談記録や会議の文字起こしといった単純な業務に膨大な作業時間を費やしており、業務の効率化が重要である」(NEC)

 なお、NECは、全国の児童相談所への展開を見据え、電話による通告時の音声文字化など音声認識AIの機能強化を進める。同時に、家庭児童相談室や関係機関も含めてノウハウを共有することで、児童福祉全体の支援強化を目指す。

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