IDC Japanは2023年10月16日、国内におけるITインフラに関する支出動向の調査・分析結果を発表した。ITインフラへの投資で期待するビジネス成果として、コスト削減、事業運営の効率化、売上の拡大が回答のトップ3になった。一方で、顧客満足度の向上やイノベーションの加速といったデジタルビジネスに直結する成果への期待も挙がった。
IDC Japanは、ITインフラに関する支出動向の調査・分析結果を発表した。調査は、国内企業/組織におけるITインフラ導入の意思決定やITインフラ導入のプロセスに関与する回答者554人を対象として2023年9月に実施した。
ITインフラへの投資で期待するビジネス成果として、コスト削減、事業運営の効率化、売上の拡大が回答のトップ3になった。一方で、顧客満足度の向上やイノベーションの加速といったデジタルビジネスに直結する成果への期待も挙がった(図1)。
ITインフラの投資で重視する分野として、セキュリティや俊敏性の向上、運用管理の自律化、データ分析基盤が挙がっている。IDCによると、「デジタルビジネスの成熟度が高い回答企業ほどITインフラ投資の優先度が高く、ITインフラのレジリエンシー(変化への対応能力)も備える傾向が表れている」という。
今回の調査では、オンプレミスにおいてもハードウェアをクラウドのようなas a Serviceモデルで利用可能なサービスが増えていることに関連して、それを利用する理由を尋ねている。回答を見ると、リソース使用量に応じた支払い、過大な初期投資の回避、利用とコストの対応関係の明確化が上位に入ったほか、ITインフラコストの説明責任、コスト負担部門の明確化などの理由も挙げられた。
また、生成AIの活用がITインフラに及ぼす変化を尋ねた項目では、サイバーセキュリティ脅威への対応、オンプレミスへのワークロードの再配置、ITインフラの複雑性の増大、パブリッククラウドへの移行の加速が上位に入った。
IDCは、デジタルビジネスを拡大するにあたってITインフラは優先度の高い投資領域の1つであるとして、次のように指摘している。「生成AIの活用が進めば、ITインフラが複雑化・分散化がさらに加速する。その投資においては、データ活用によるイノベーションの実現とITインフラの信頼性の向上を両立させながら、デジタルビジネスを実現するための共通基盤を構築することが重要である」