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奈良県の梅乃宿酒造、名刺情報をデジタル化して組織的に活用、年間1億円の新規販路を開拓

2023年10月26日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)

日本酒「梅乃宿」やリキュール「あらごし」を製造・販売する梅乃宿酒造(本社:奈良県葛城市)は、組織的な人脈管理を目的に、クラウド名刺管理サービス「Sansan」を2022年に導入した。名刺情報の活用で新規の商談を創出し、年間で1億円に上る成約に至ったという。Sansanが2023年10月26日に発表した。

 梅乃宿酒造は、1893(明治26)年に創業した奈良県の老舗酒造メーカーである。高齢化や人口減少による日本酒製造・出荷量の低下を受けて、2002年に日本酒仕込みの梅酒を発売し人気を博した。2007年以降はフルーツリキュール「あらごし」シリーズ(写真1)を展開。海外輸出も開始し、売上を順調に伸ばしていた。

写真1:海外でも人気のフルーツリキュール「あらごし」シリーズ(出典:梅乃宿酒造)

 しかしながら、コロナ禍の影響で2019年度後半から売上が大きく減少。これを受け、販路・販売方法を見直した。売上を回復させるため、これまで出荷先の中心だった中小・個人事業主の酒販店以外に、全国規模の大手量販店に販路を広げる必要があったという。

 販路の拡大にあたって、名刺の人脈情報を活用した。それまで個別・属人的に管理していた名刺情報をデジタル化するため、2022年にクラウド名刺管理サービスの「Sansan」を導入。退職した社員が残した名刺も含め、社内にある名刺はすべてSansanに登録することを徹底した。

 退職者が残した営業先の企業担当者の名刺情報を活用するなど、デジタル化によって組織的に人脈を管理した。取り組みの結果、大手量販店チェーンの29都道府県/351店舗で、看板商品のあらごしシリーズの販売が決定するなど年間売上が約1億円に達した。2022年の売上はコロナ前の2019年を上回ったという。

 加えて同社では、Sansanに蓄積した顧客情報をSalesforceと連携させている。Salesforceで管理するデータの精度が高まり、取引先へのメールやファクスの案内が不着なく届くようになったという。メール開封率は約20%と高い数値で、営業生産性を向上させている。

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