[市場動向]
AIスタートアップのSakana AIが45億円を調達、NTTが日本の筆頭株主に
2024年1月17日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)
NTTドコモ・ベンチャーズ(NDV)は2024年1月17日、AI研究開発スタートアップのSakana AI(本社:東京都港区)に出資したと発表した。Sakana AIとNTTは既存の大規模言語モデル(LLM)を有機的に連携させるビジョンを共通して掲げている。Sakana AIは同社として初めての資金調達を実施し、約45億円を日米のベンチャーキャピタルなどから調達。日本企業からはNTTグループ、KDDI、ソニーグループから出資を受けており、NTTグループが日本における筆頭株主になった。
NTTドコモ・ベンチャーズ(NDV)は、AIベンチャーのSakana AIに出資した。Sakana AIは今回、同社として初めての資金調達を実施し、約45億円を日米のベンチャーキャピタルなどから調達している。日本企業からはNTTグループ、KDDI、ソニーグループから出資を受けており、NTTグループが日本における筆頭株主である(写真1)。
Sakana AIは、2023年8月に東京で設立したAI研究開発のスタートアップ。Google Brainの日本部門統括として複雑系や自律システムの研究を指揮してきたデビッド・ハー(David Ha)氏と、現在の生成AIの普及につながるTransformerモデルの論文「Attention Is All You Need」の著者の1人であるリオン・ジョーンズ(Llion Jones)氏が設立した。
同社に出資したNTTは、軽量ながら高い日本語処理性能を備える大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi」を開発している(関連記事:NTT、1GPUで推論動作可能な軽量LLM「tsuzumi」を発表、2024年3月に商用化)。NTTとSakana AIは共に既存のLLMを有機的に連携させるビジョンを掲げている。多数の小型AIを効率的につなぐことで、AIモデルの省電力化を推進する。アーキテクチャ自体の省電力化にも取り組む(図1)。
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Sakana AIの共同出資者でCOO(最高執行責任者)を務める伊藤錬氏は、AIモデルの現状について、「インプットとアウトプットが比例しており、お金をかければかけるだけ良いものができる。お金を使う競争になっている」と指摘する。
Sakana AIはこの問題を解消し、既存のLLMをつなぎ合わせて巨大なLLMと同じものを安価に実現する。どのような用途でどのようなLLMやAIモデルを使うのかも、人間が指定するのではなく自律的に制御する。複数の小型AIを適切に組み合わせるエージェント機能を定義している。
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