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サントリー食品、清涼飲料の工場と倉庫でデジタルツインによるトレーサビリティシステムが稼働

2024年1月24日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)

サントリー食品インターナショナル(本社:東京都港区)は2024年1月24日、清涼飲料のサプライチェーンにおいてトレーサビリティを確保するデジタルツインシステムの運用を開始したと発表した。工場への原材料の入荷から製造、物流、倉庫保管までのトレーサビリティを確保する。清涼飲料の国内製造委託先を含めた工場約60拠点・倉庫約300拠点のすべてで一斉に運用開始した。システムは日立製作所が開発した。

 サントリー食品インターナショナルは、清涼飲料のサプライチェーンにおいてトレーサビリティを確保するデジタルツインシステムの稼働を開始した。工場への原材料の入荷から製造、物流、倉庫保管までの範囲でトレーサビリティを確保する(図1関連記事工場変革を起点に経営変革へ─データドリブンとリザルトチェーンで挑むサントリー)。

 同社はこれまで、工場への原材料入荷から製造、物流、倉庫保管までの情報を個別のシステムで管理し、原材料などにおいて問題になる疑義が発生した際はサプライヤーや工場、倉庫に問い合わせ、影響範囲を調査・確認していた。こうした業務に時間と労力を費やしていたという。

 「飲料メーカーは商品の安全・安心の実現に向けて、厳格な生産・品質管理とともに、商品のサプライチェーン全般に関する各種の問い合わせに対して迅速に対応・説明することが求められている」(同社)ことからシステムの開発に着手。システムにより、問題になる疑いのある原材料を使っている製品の出荷を未然に防ぐといったことが可能になる。

図1:サントリー食品が稼働させたトレーサビリティシステムの対象範囲(出典:サントリー食品インターナショナル、日立製作所)
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 日立製作所が開発に携わり、サプライチェーン上のデータを収集し仮想空間に現実世界を再現してシミュレーションするデジタルツインシステムを構築した。これにより、トレーサビリティを確保し、疑義の影響範囲を即座に把握できるようにした(図2)。

図2:サントリー食品が稼働させたトレーサビリティシステムの仕組み(出典:サントリー食品インターナショナル、日立製作所)
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 構築したシステムは、各工場における原材料の入荷・投入情報、商品の製造計画・実績情報、商品出荷情報、各倉庫における入庫・保管情報などのデータを、IoT基盤に収集して蓄積する。このうえで、現場プロセスをデジタル空間に再現する。これにより、出荷品が、いつ、どこで、どの原材料を用い、誰によって作られ、どこに出荷されたかを、速やかに追跡できるようにした。

 原材料ロットから疑義商品を特定するトレースフォワード、商品ロットから疑義原材料を特定するトレースバックなど、各種の業務シーンに適応可能である。業務プロセスをモデリングする機能も備えており、トレースポイントをノーコードで拡張できる。

 国内で清涼飲料を製造している委託先を含めた工場約60拠点・倉庫約300拠点のすべてで一斉に運用を始めている。今後、トレーサビリティの範囲を原材料のサプライヤーや卸売事業者、小売店まで拡大する予定である。

 構築したシステムの価値としてサントリー食品は、異常があった原材料を使って他の商品を製造する事故を未然に防げることや、原材料や工程の異常による疑義商品を製造した場合でも影響範囲を迅速・正確に把握できることを挙げる。また、製造前の原材料や社内倉庫間輸送前の商品で疑義範囲を特定することで廃棄ロスや不要な輸送を抑えられるとしている。

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