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10年ぶりメジャーバージョンアップのファイル転送ミドルウェア「HULFT10」、コンテナ/CLI版を追加

AWSコンテナ版をAWS Marketplaceから提供開始

2024年2月13日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

セゾン情報システムズは2024年2月9日、企業向けファイル転送ミドルウェア新版「HULFT10」を発表した。2014年12月リリースのHULFT8から10年ぶりのメジャーバージョンアップとなる。新版では、ファイル転送プロトコルを刷新してプル型通信に対応したほか、コンテナ版やコマンドラインプログラムなどを提供する。同日、Amazon ECSで動作するコンテナ版「HULFT10 for Container Services」の提供を開始した。価格は1コンテナ/1時間あたり2.3米ドルから。

 セゾン情報システムズの「HULFT」は、基幹システムのデータ連携用途に向くファイル転送ミドルウェアである。幅広い稼働環境に対応しており、PC(Windows/Linux)、UNIX、オフコン(IBM i)、メインフレーム(IBM zOS/zLinux、富士通MSP/XSP)、無停止型サーバー(HPE NonStop)で動作する。HULFTが動作するこれら異機種同士をTCP/IPファイル転送によって連携させられる。異機種間でのデータ送受に必要な文字コード変換やデータ形式変換の機能を備える。

図1:HULFT10の製品ラインアップ(出典:セゾン情報システムズ)
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 今回、10年ぶりのメジャーバージョンアップとなる「HULFT10」を発表した。新版では、ファイル転送プロトコルを刷新したほか、製品ラインアップを拡充し、コンテナ版(パブリッククラウドサービスのマーケットプレイス版と通常のコンテナ版)とコマンドラインで実行可能なCLI版を追加した。CLIはインストール不要で起動でき、HULFT未導入先とのファイル連携用途に向く(図1)。

  • HULFT10 for Linux/Windows/zOS/IBM i(各OS版)
  • HULFT10 for Container Services(コンテナ版、AWS Marketplaceで提供)
  • HULFT10 for Container Platform(コンテナ版、OpenShift環境などで動作)
  • HULFT10 CLI(仮称、コマンドラインプログラム版)

 前バージョンのHULFT8は8種類のOSで動作するが、HULFT10ではこのうち上記4つをラインアップ。残りのzLinux、UNIX、MSP/XSP、NonStopについては引き続きHULFT8を提供する。

 なお、HULFT10の開発には、これまでのC/C++から変更して、メモリー使用時の安全性が高いRustおよびGo(画面開発はTypeScript)を用いている。

 ファイル転送プロトコルの刷新では、VPNを用いなくても、インターネットを介したHULFT同士での直接通信が可能になった。例えば、HTTPSのようにTLSを使って通信経路を暗号化する。HTTPS同様、HULFT同士でエンドツーエンドで経路を暗号化したり、経路上にあるプロキシやロードバランサでTLS通信を終端させたりする設定も可能である(図2)。

図2:TLSでエンドツーエンドで通信経路を暗号化する(出典:セゾン情報システムズ)
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 また、双方向通信に加えて、プル型でファイルを受信できるようになった。クライアントからサーバーにつど接続してファイルを転送する形になる。これにより、クライアント側では、ファイル受信のために自身のIPアドレスやポート番号を転送元のHULFTに公開する必要がなくなった(図3)。

図3:双方向通信だけでなくプル型で受信できるようにした(出典:セゾン情報システムズ)
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 機能面では、個々の転送ごとに有効期間(開始/終了日時)を設定できるようにした。例えば、1週間後のファイル転送ジョブを開始前に登録しておける。その際、有効期間は転送のジョブ、受信のジョブなど個々の送受信ジョブごとに設定できる。加えて、ユーザーの使用期間も設定可能になった(図4)。

図4:個々の転送設定ごとに有効期間(開始日時と終了日時)を設定できるようにした(出典:セゾン情報システムズ)
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AWS版をリリース、Azure/GCP版の提供も計画

 セゾン情報システムズは2024年2月9日、コンテナ版であるHULFT10 for Container Servicesの提供をAWS Marketplaceで開始した。AWSのコンテナサービス「Amazon ECS」で動作する。

 2024年度第3四半期には、OpenShift環境など各種コンテナ環境で動作する汎用コンテナ版「HULFT10 for Container Platform」をリリースする予定。また、今後、Microsoft AzureやGoogle Cloudのコンテナサービス版の提供も検討しているという(図5)。

図5:AWS Marketplaceで提供開始したコンテナサービス版の概要(出典:セゾン情報システムズ)
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 コンテナ版は、管理用コンテナと転送用コンテナで構成する。管理用コンテナは管理情報や履歴などの管理のためのGUIを備え、外部システムとのAPI連携のインタフェースにもなる。設定情報やログなどは、コンテナ外のストレージなどに保管する。転送用コンテナでは複数コンテナのクラスタ構成で負荷分散が可能になる。

 HULFT10 for Container Servicesの価格は、1コンテナ/1時間あたり2.3米ドルからの従量課金。2024年度第2四半期に年額制も選べるようになる(年額4993.2米ドル)。

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