野村総合研究所(NRI)は2024年2月28日、物流倉庫の課題と改善策をデジタルツインで評価するコンサルティングサービスを開始した。物流拠点や貨物の流れをデジタル空間上に再現し、現場で起こっている/起こりうる課題を可視化する。デジタルツインの構築に、米FlexSim Software Productsの物流向け3Dシミュレーションソフトウェア「FlexSim(フレックスシム)」を利用する。
野村総合研究所(NRI)は、物流倉庫の課題と改善策をデジタルツインで評価するコンサルティングサービスを開始した。
デジタルツインの構築には、米FlexSim Software Products(国内販売代理店:ゼネテック)の物流向け3Dシミュレーションソフトウェア「FlexSim(フレックスシム)」を利用する(画面1、関連記事:「白い恋人」の石屋製菓、製造ラインの見える化を実現―生産業務の平準化に向け、3Dシミュレーションを導入)。
画面1:FlexSimの画面イメージ(左:3Dモデル空間、右:ダッシュボード)(出典:野村総合研究所)拡大画像表示
物流拠点や貨物の流れをデジタル空間上に再現し、現場で起こっている/起こりうる課題を可視化する。どこで滞留が起こり、どの工程・機器・作業員の稼働率が低いかなど、これまで現場でひずみが出るまで把握不可能だった拠点内の事象を定量的に把握する。そのうえで、データを基に改善策を立案し、改善策の効果をシミュレーションによって評価する。
「物流業務の改善にあたっては、改善後にも問題なく業務を継続できるか、想定どおりの能力を発揮できるかを事前に判断できることが重要である」とNRIは指摘する。コンサルティングサービスでは、デジタルツインを利用して、改善の実現性についての判断・評価を詳細かつ定量的に行えるようにするという。
NRIは、デジタルツインを活用するユースケースとして、(1)新拠点・新レイアウトの効果とリスクを評価する用途、(2)既存拠点の処理能力やキャパシティ不足を予測する用途を挙げている。
(1)候補の建屋や新規レイアウトが、求めている処理能力を満たしているかを評価する。レイアウト案を比較検討し、より少ないリソースで要求能力を満たす方式を見いだせる。また、後続工程の能力を最大化する視点で、貨物の仕分けラインへの投入間隔、要員の配置箇所と人数、動線等の詳細なオペレーション案などを評価できる。
(2)繁忙期前のシミュレーションにより、どのタイミング/工程/作業エリアでリソース不足による遅延や停滞が発生するかを事前に把握して、要員数や配置の見直しに役立てられる。見直した後に業務が滞りなく行えるか、配置が過剰でないかなども事前に評価可能である。
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